「あと少し、もう少し」(瀬尾まいこ)②
物語の進行とともに登場人物の輪郭が鮮明になっていく 「あと少し、もう少し」 (瀬尾まいこ)新潮文庫 前回に引き続き、 本作品を取り上げます。 作品そのものが 1区から6区と分かれていて、 1区間ずつ、その走者が 語り手と...
物語の進行とともに登場人物の輪郭が鮮明になっていく 「あと少し、もう少し」 (瀬尾まいこ)新潮文庫 前回に引き続き、 本作品を取り上げます。 作品そのものが 1区から6区と分かれていて、 1区間ずつ、その走者が 語り手と...
描かれているのは悩み多き中学生の一生懸命な姿 「あと少し、もう少し」 (瀬尾まいこ)新潮文庫 陸上部の名物顧問が異動となり、 代わりにやってきたのは 頼りない美術教師。 部長の桝井は、 中学最後の駅伝大会に向けて メンバ...
地球はあたかも生きもののよう 「図解プレートテクトニクス入門」 (木村学・大木勇人) 講談社ブルーバックス 現代では「大陸が動く」といっても 誰も驚かないでしょう。 中学校1年生の理科の教科書に しっかり載っているのです...
巨大地震と巨大噴火の中で生き抜くDNA 「富士山噴火と南海トラフ」 (鎌田浩毅)講談社ブルーバックス 近年何かと話題になる 「南海トラフ巨大地震」。 今後30年以内に 約70%の高い確率で発生し、 最悪の場合、死者が32...
日本人は一体どこに向かおうとしているのか? 「冬虫夏草」(梨木香歩)新潮文庫 前作「家守綺譚」は 高堂家の庭周辺での顛末でしたが、 本作「冬虫夏草」は 鈴鹿山中一帯を舞台にしているため、 スケールも壮大です。 下地になっ...
「変化(へんげ)したもの」なのです 「冬虫夏草」(梨木香歩)新潮文庫 亡き友の家守をしながら 物書きを続ける綿貫征四郎。 愛犬ゴローが姿を消して 半年が経ち、 綿貫はいてもたっても いられなくなる。 意を決して鈴鹿山中に...
おまえは人の世の行く末を信じられるのか 「家守綺譚」(梨木香歩)新潮文庫 前回取り上げた「家守綺譚」。 冒頭の、 サルスベリが綿貫に懸想をした際、 「木に惚れられたのは初めてだ。」 という綿貫に対し、 高堂は「木に、は余...
私たち日本人がこの百数十年の中で失ったもの 「家守綺譚」(梨木香歩)新潮文庫 私・綿貫征四郎は 亡き友人・高堂の家に 「家守」として住まう物書きである。 ある風雨の夜、 庭のサルスベリの花が やけに硝子にあたって音を立て...
描かれているのは、人と人との繋がりの在り方 「雪と珊瑚と」(梨木香歩)角川文庫 生まれたばかりの 赤ん坊・雪を抱えている 21歳シングルマザーの珊瑚。 彼女は 「赤ちゃん、お預かりします」の 張り紙の主・くららとの 出会...
椋の木のほらは「私」の心に開いた空隙 「f植物園の巣穴」(梨木香歩)朝日文庫 f植物園に勤務する「私」は、 歯痛に見舞われ歯医者に向かう。 そこから「私」の身のまわりには 不思議なことが続いて起こる。 やがて「私」は 椋...