「サンタクロース少年の冒険」(ボーム)

40数年来の疑問が氷解しました

「サンタクロース少年の冒険」
(ボーム/畔柳和代訳)新潮文庫

森に捨てられていた赤ん坊は
クロースと名付けられ、
妖精たちに囲まれて
育っていった。
少年となった彼は、
人間の厳しい生活を
目の当たりにし、
森を出ることを決意する。
そして子どもたちに
夢を与えるため
玩具を作り始める…。

まだサンタクロースの存在を
信じていた子どもの頃、
信じていた分だけいろいろな疑問を
持っていたことを覚えています。
なぜサンタの姿を
見ることができないのか?
なぜ世界中の数多くの子どもたちに
一晩でプレゼントを届けられるのか?
子どもたちにプレゼントする玩具を
どうやって調達しているのか?
プレゼントはなぜ靴下に
入れることになっているのか?
煙突のない我が家に
どうやって入ってきたのか?
昔からいたのであれば
サンタは今何歳なのか?
サンタは死なないのか?…。
私の幼い頃のそうした疑問のすべてに、
明確な説明を与えてくれたのが
本作品です。
40数年来の疑問が氷解しました。

筋書きはサンタクロースの一生です。
サンタが生まれてから
その使命に目覚め、
全世界の子どもたちにプレゼントを
配ることができるようになるまでを
描いています。
「謎の存在」としてしか語られなかった
サンタクロースに、
真実の姿を与えている作品なのです。
本作品を読めば、
サンタの存在を自然な形で
納得することができるのです。

本書(新潮文庫刊)はつい先日
(令和元年12月1日)発売されました。
でも本作品誕生は1902年。
なんと明治の時代に
すでに存在していたのです。
作者は「オズの魔法使い」で有名な
ライマン・フランク・ボーム。

この本にもっと早く出会えていたら…、
もし子どもの頃に出会っていたなら、
もっと長くサンタを信じることが
できていたのではないかと
思ってしまいます。
たとえ周囲の友だちから
「サンタって本当はいないんだよ」と
教えられたとしても。

いや、合理的な説明など
必要ないのかも知れません。
私たちに幸せを運んでくれるものが
確かに存在し、世の中は決して
捨てたものではないのだと
信じること、信じられることこそ
大切なのかも知れません。
そしてだからこそ本作品は、
その「幸せを運んでくれるもの」が
しっかりと身近に感じられるという点で
貴重なものだと思うのです。

今宵はクリスマス・イブ。
すでに大人になってしまった
私やあなたは、
誰かに幸せを与えられる存在に
なっているはずです。
子どもたちとともに夢を見ましょう。

※文庫本では今回が
 初めての出版ですが、
 1980年には内藤理恵子訳で
 児童書として出版されていました。
 また1996年には
 「少年サンタの大冒険!」という
 タイトルで
 アニメ放映もされていました。

(2019.12.24)

Gerhard GellingerによるPixabayからの画像

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA