「はたらく細胞06」(清水茜)

最後を飾るにふさわしい第6巻

「はたらく細胞06」(清水茜)講談社

いつものように雑菌を駆逐する
白血球の前に、
経路に迷った血小板が現れる。
かつての赤血球にも似た
そのひたむきさに
白血球は親近感を覚える。
そんなとき巨大な振動が襲い、
毛細血管が広範囲に損傷する。
たんこぶができたのだ…。
(第26話 たんこぶ)

第5巻を読み終えてわずか1週間。
最後の第6巻を読み終えました。
舞台となる体の病気の症状が
多様性を帯びるにつれて、
本来主役であったはずの赤血球の出番が
少なくなっていました。
前回第5巻ではわずかに
最後の1コマだけでした
(仕方ありません。
赤血球は酸素を運ぶだけで、
菌やウイルスに対しては
何の働きもしないのですから)。
今回は最後の3篇で
再び活躍しはじめます。

大量の細菌を駆除した
白血球と好酸球の二人は、
瀕死の重傷を負う。
二人は自分たちが
無茶をするようになった
きっかけである
桿状核球先輩のことを
思い出していた。
尊敬できる先輩の桿状核球。
だが二人の認識には
ズレがあり…。
(第27話 左方移動)

【登場人物(細胞・菌)一覧】
赤血球 白血球(好中球) 巨核球
好酸球 好塩基球 骨髄球 桿状核球
桿体細胞 脳細胞 iPS細胞 樹状細胞
ヘルパーT細胞 表皮細胞 記憶細胞
B細胞 マクロファージ キラーT細胞
好気性細菌 新型コロナウイルス

赤血球と白血球の二人は
桿体細胞のもとを訪れるが、
様子がおかしい。
彼は自暴自棄になっていた。
事情を聞くと、
仲間たちが次から次へと
退行変性し、自分一人に
なってしまったという。
そしてまもなくこの体は
失明するという…。
(第28話 iPS細胞)

「たんこぶ」「乾癬」という身近な現象を
取り上げたかと思うと、
「左方移動」という
体内でのマニアックなしくみが登場し、
さらには「iPS細胞」
「新型コロナウイルス」という
最新の話題まで詰め込んだ第6巻。
最後を飾るにふさわしい内容です。

表皮を訪れた赤血球と白血球は、
表皮細胞から
表皮のしくみを教わる。
表皮細胞は増殖すると
古い細胞が上(表面)側に
移動するというのだ。
そのとき衝撃が起こり、
樹状細胞、続いて
ヘルパーT細胞が異常活性し、
暴走しはじめ…。
(特別編 乾癬)

この「乾癬」のみ「特別編」である理由は、
このエピソードのみ連載誌である
「月刊少年シリウス」を離れ、
乾癬パートナーズウェブサイト、
honto、および
池袋駅構内広告スペースを媒体に、
「はたらく細胞 乾癬編」として
公開されたことによるものだそうです。
そのせいか、このエピソードだけは
解決が果たされていません。
それだけ「乾癬」は根本的治療が
難しいということでしょう。

新手の敵と対峙する免疫細胞たち。
しかしその敵は潜伏期間が長く、
味覚嗅覚、
そして肺胞を攻撃していく。
ついにはサイトカインストームが
引き起こされ、
免疫細胞たちが暴走をはじめる。
敵の正体は
新型コロナウイルスだった…。
(第29話 新型コロナウイルス)

原点に立ち返り、
酸素を運ぶという任務に
誇りを持って取り組む赤血球の姿が
描かれます。
と同時に、未知のウイルスである
新型コロナウイルスについて、
私たちの知らない知見についても
触れています。
まさに最終回らしいドラマが
展開されていきます。

全6巻、
十分に愉しむことができました。
普段マンガを読まない私でさえ、
はまってしまいました。
中学校の理科の副読本として
採用したいくらいです。
小中学校の図書館には
ぜひ置いて欲しいセットです。
作者・清水茜さんの
今後の作品に期待します。

(2021.11.25)

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