
10年ぶりに再読、10年前以上の衝撃。
「地方消滅」(増田寛也編著)中公新書
人口減少は避けられない。
今なすべきは人口の「急減」、
ひいては「極点社会」の
出現を回避し、人口減少の
スピードを抑えること、そして
豊かな生活が営める社会への
道筋をつけることである。
それはひとえに
私たちの選択にかかって…。
2014年出版の本書「地方消滅」。
その内容は、
2010年の人口データをもとに
2040年での人口減少社会を予測し、
それに対する警告と
その対策を示したものです。
その衝撃的な内容が、
当時話題になりました。
私も読んで衝撃を受けたことを
覚えています。
今年2025年は、その予測データの
中間地点にあたります。
10年ぶりに再読してみました。
10年前以上の衝撃を受けました。
その衝撃こそ、
本書の味わいどころとなっています。
〔本書の構成〕
序章 人口急減社会への警鐘
第1章 極点社会の到来
第2章 求められる国家戦略
第3章 東京一極集中に歯止めをかける
第4章 国民の「希望」をかなえる
第5章 未来日本の縮図・
北海道の地域戦略
第6章 地域が活きる6モデル
対話篇1
やがて東京も収縮し、日本は破綻する
対話篇2
人口急減社会への処方箋を探る
対話篇3
競争力の高い地方はどこが違うのか
おわりに 日本の選択、私たちの選択
全国市区町村別の将来推計人口
本書の味わいどころ①
ことごとく的中している予想に驚愕
本書刊行の2014年以降、
本書に対する批判的な内容の本や、
「人口減少何するものぞ」といった
楽観論的立場の本が
いくつも登場しました。
しかし本書に書かれてあることの多くが
2025年現在、的中していることに、
まず驚かされます。
地方から大都市への人口流出は、
コロナ禍において
一時的に沈静化を見せたものの、
現在では一層顕著になってきています。
地方では少子化以前の問題として
そもそも若い女性が激減しています。
東京に集中した若い世代では、
結婚して子どもを産み育てることが
不可能な経済状態の層が
増加しています。
膨大なデータをもとに
シミュレーションした本書の内容は、
やはり正しかったのです。
この、ことごとく的中している予想を
噛みしめることこそが、
本書の第一の味わいどころなのです。
しっかりと味わいましょう。
当時いくつも登場した
「反増田レポート」本や
「人口減少楽観論」本は、現在では
ほとんど見られなくなった一方、
人口減少に関する本は
増え続けています。
こうした点も本書の先見性を
裏付けているといえます。
本書の味わいどころ②
何もできていない政治の現状に驚愕
さらに本書には、
東京一極集中を是正するための
政策提言がなされています。
その多くがこの10年間、
ほとんどなされていないことに
驚かされます。
日本の政治のいかに無策なことか。
二年前に岸田内閣が打ち出した
「異次元の少子化対策」をはじめとする
ここ数年の「少子化対策」の多くが、
「異次元的に」まと外れなものと
なっているのです。
せっかくいくつもの処方箋が
示されているのに、
何もやろうとしない政治。
そしてそうした政治家たちを
選んでしまった私たちのふがいなさ。
そうした2025年の現状と照らし合わせて
問題意識を持つことこそ、
本書の第二の
味わいどころとなるのです。
じっくりと味わいましょう。
本書の味わいどころ③
着実に進行している地方の人口減少
本書の巻末には、
「全国市区町村別の将来推計人口」として
36頁にわたる
人口データが示されています。
内容は
「若年女性人口変化率」
「2040年若年女性人口」
「2040年総人口」
「2010年若年女性人口」
「2010年総人口」となっています。
私の住む地域(秋田県横手市)の
データを見てみます。
2010年の総人口は98,367人。
2040年の総人口予想は59,519人。
30年間で
38,848人も減少する計算です。
もしその減少が、
仮に一定の割合で進行するのであれば、
その中間地点の2025年は
その半数19,424人が減少し、
78,943人になっているものと
考えられます。
2025年7月段階でのデータを
市の統計データで調べてみると、
79,670人。
99%もの高い精度で
人口予想は的中しているのです。
データを参照しながら、
人口減少が着実に進行している
地方の実態を再確認することこそ、
本書の第三の
味わいどころとなっているのです。
たっぷりと味わいましょう。
私たちにできることは何か。
やはり政治を
正しく選択することでしょう。
しかし人口減少を正しく認識している
政治家はほとんどいません。
私の住む地方でも、
政治家が口にするのは
地域の発展する将来像ばかりであり、
縮小する現実に
向き合ってはいないのです。
となると、私たち一人一人が
人口減少の問題を正しく認識し、
その意識を共有し、
政治に反映させていかなくては
ならないのでしょう。
長い道のりかもしれませんが、
その第一歩として
本書を読み直すべきなのでしょう。
かつて話題になった本書を、
もう一度読み直してみませんか。
(2025.8.18)
〔本書の続編について〕
昨年(2024年)、すでに続編
「地方消滅2」が刊行されています。
また、関連する本も、
これまでいくつも出版されています。
〔関連記事:人口減少に関わる本〕
「未来の年表」(河合雅司)
「未来の年表2」(河合雅司)
「未来の地図帳」(河合雅司)
「少子社会日本」(山田昌弘)

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