「地学ノススメ」(鎌田浩毅)

地学の学び直しのための日本国民必読の書

「地学ノススメ」
 (鎌田浩毅)講談社ブルーバックス

東日本大震災以降、
御嶽山噴火、口永良部島噴火、
熊本地震と、
大地の変動に関わる災害が
連続しています。
日本という国が、
地震の震源と火山の集中している
地域の上にあるということを、
改めて思い知らされます。

日本に住み続ける以上、
地震・火山災害は
避けて通ることができません。
地震と火山のメカニズムを
正しく理解し、
災害に適切に備えることが肝要です。

ところが、
心もとない状況があります。
高校で地学の履修者が
ここ数年で激減しているのです。
物理・化学・生物に比べ、
大学入試で地学が課されるケースが
極端に少ないため、
誰も選択しないのです。
地学が開設されていない高校も
少なくありません。

つまり、日本国民の地学リテラシーは
義務教育段階、それも
中学校1年生の段階で止まっています
(地震・火山は中1で履修のため)。
そして中1では
生物→化学→物理→地学の順で
カリキュラムが
組まれていることが多く、
授業の進度が遅れた場合は
年度末に大急ぎで消化するケースも
目立つのです。

私のような人生の折り返し地点を
過ぎた人間ならいざ知らず、
10代の若い層は必ず次の大震災を
遠からぬ将来
経験することになるのです。
私はこのような状況を
以前から憂いていました。

いささか前置きが長くなりました。
この状況を改善することは難しくとも、
地学の学び直しは十分可能です。
そのための最適の本が、
最近出版されていました。
本書「地学ノススメ」です。

専門書にありがちな
系統性にこだわることをやめ、
近い将来起こりうる
地震・火山災害を
正しく理解するために必要な
「日本列島の大地の構造」について、
これ以上ないほど
詳しく解説してあります。

本書で著者が述べている
「自然の動きについて
 正しい知識を持っていれば、
 自分の身を守ることができる
 可能性が高くなります。」
は、
まさにその通りなのです。
災害の正体を詳しく知っているほど、
正しい対処の仕方が
見えてくるはずです。

近い将来起こるであろう
「南海トラフ巨大地震は、
 どうしても若者達の人生と
 交差せざるを得ない」
のです。
高校生そして大人のみなさんに、
というよりも
日本国民の必読書として
本書を強くお薦めします。

(2018.11.7)

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