「大陸と海洋の起源」(ウェゲナー)①

難しくて手に負えませんでした。

「大陸と海洋の起源」
(ウェゲナー/都城秋穂・紫藤文子訳)
 岩波文庫

前回取り上げた
「海に沈んだ大陸の謎」は、
オカルト本などではなく、正真正銘の
地球物理学の入門書のような内容です。
そこで思い出したのが本書です。
大陸移動説を唱えたウェゲナーによる
「大陸と海洋の起源」。

5年ほど前に難儀して読了したものの、
内容の多くを理解できないままで
終わってしまいました。
当時投稿していたブログにも
そのような記載しかできず、
そのため本サイトに再投稿するのを
ためらっていました。
以下は、そのとき(2014年8月)の
投稿文を一部修正したものです。

大陸移動説。
今では中学校1年生の
教科書に載っているため、
もはや誰もが知っている
「常識」となりました。
しかし、この学説が定着するまでに
何と時間のかかったことか。

著者・ウェゲナーが
大陸移動説を発表したのは1912年、
今から約100年前です。
そのあまりの奇抜さ故、
当時はなかなか受け入れられず、
彼の死をもって大陸移動説は
忘れられます。
その後、1950~1960年代に、
古地磁気や海底地形の研究によって
海洋底拡大説が提唱され、
それがプレートテクトニクス理論へと
発展するのです。
プレート運動の結果として
大陸移動が導きだされることから、
ようやくウェゲナーの説も
見直されるようになったのです。

そもそも、
私が中学生だった頃の教科書には、
「大陸移動」や
「プレートテクトニクス」といった記述は
ありませんでした。
たしか「地球表面にしわが寄って、
深い海と大山脈が出来た」的な説明が
記載されていたはずです
(おそらく地球収縮説)。
参考書にも、古生物の化石の分布から
「かつては大陸と大陸を結ぶ
橋のようなものがあった」的なコラムが
載っていたくらいです
(陸橋説だったか?)。

ウェゲナーの書いた本を読んでみたい。
ずっと思っていましたが、
しばらく絶版が続いていたため、
あきらめていましたが、
このほど中古で
入手することができました。

読んでみて、…、う~ん、難しい。
何が難しいか。
彼の記述には、現在では明らかに
間違いとなっている考え方が
そこここに見られるのです。
私の知識では、
どこからどこまでが正しくて、
どこからどこまでが間違っているか、
正確にわかりませんでした。
専門書やネット検索で
調べながら読み進めましたが、
その時間のかかること。
「まあ、これが勉強なんだよね」と
一人納得しながら読み通した次第です。

もちろん中学生にも高校生にも
薦めるつもりはありません。
しかし、このような素晴らしい
古典的な名作専門書が、
埋もれることなく、
欲しい人が確実に入手できる
世の中であることを祈りつつ、
紹介してしまいました。

ここまでが
2014年に投稿した内容でした。
最後に記した「欲しい人が確実に
入手できる世の中であること」が
いくらか実現したような気がします。
つい先日、講談社ブルーバックスから
新装復刊していました。
明日取り上げます。

(2020.5.12)

lance87によるPixabayからの画像

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