「岸辺露伴は動かない」(荒木飛呂彦)

へヴンズ・ドアを発動し…、いやいや

「岸辺露伴は動かない」(荒木飛呂彦)
 集英社ジャンプコミックス

漫画家・岸部露伴は、
編集者・泉京香から
「富豪村」の話を聞く。
周囲から孤立した山奥にある
「富豪村」は、住人すべてが
屈指の富豪であった。
その一画が格安価格で
売りに出される。
購入を希望する泉の付添として
露伴は同行するが…。

これまで漫画も
いくつか取り上げてきましたが、
それは「あさきゆめみし」(源氏物語)、
「君たちはどう生きるか」
(吉野源三郎)など、
文学と何らかの
関わりのあるものでした。
今回思い切って取り上げる本書
「岸部露伴は動かない」は、もちろん
昨年末のNHK-BSによるドラマ化で
思い切り興奮してしまったからです。

少年ジャンプ漫画に詳しい方には
もはや説明不要なのですが、
本作品は荒木飛呂彦の
人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の
スピン・オフ作品であり、
マニアックな内容が
好評を博しています。
主人公・岸辺露伴は
ただの漫画家ではなく、
相手を「本」に変化させて
その人間の記憶や思考を読み取り、
さらにはそれに
命令を書き込むことにより、
その人間の行動を規制することも
できるという特殊能力
(能力名:「へヴンズ・ドア」)を持つ、
いかにも現代漫画のヒーローなのです
(この段階でJOJOを知らない方は
ついてくることができないと
思うのですが)。

この「富豪村」ですが、
ライフラインもなく道路もない山奥に
11件の豪邸があり(住人たちの
アクセスは自家用ヘリ)、
その住人はすべて「25歳の時に
この別荘地を購入したことを転機に、
成功を収めて
大富豪になっていった」という
妖しい経歴。
潜入した露伴と京香は
その秘密を探るのです。

やがて明らかになる、
土地を手に入れ、
富豪になるための条件は、
なんと「マナーを守ること」。
二人は購入のために
マナーの試験を受けるのです。
しかし、「一つ得るか一つ失うか」。
三つのマナー違反を犯した京香は、
母親と婚約者の事故死を知るとともに、
自らの命をも失うのです。

そこから露伴の逆襲が始まります。
へヴンズ・ドアを発動し…、
いやいや、ここからは
ぜひ読んでいただきましょう。

本書には
4篇が収録されているのですが、
この「富豪村」だけが
NHK-BSでドラマ化されました。
主演の高橋一生の
見事な演技に感動しました。
顔がちょっと優しすぎるのですが、
漫画の中の岸辺露伴が
まさに実体化したような演技でした。
このようなドラマを
つくってくれるのなら、
喜んで受信料を払いたいと思います
(もっとも私は
TVをほとんど見ない上、
見るとしてもNHKしか
見ないのですが)。

文学作品も
もちろん素晴らしいのですが、
漫画も面白いのです。
読書の息抜きに、
ぜひいかがでしょうか。

※私は本書を
 買っていなかったのですが、
 次男の書棚にあったのを思いだして
 取り出しました。

(2021.2.11)

Clker-Free-Vector-ImagesによるPixabayからの画像

※岸辺露伴は面白い

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