「僕はロボットごしの君に恋をする」(山田悠介)

映画公開はいつ!?圧倒的な魅力に溢れた「ロボット」もの

「僕はロボットごしの君に恋をする」
(山田悠介)河出文庫

AIロボットが普及した
2060年の東京。
そこでは警備ロボットが
極秘裏に配置され、
市中の警護に当たっていた。
ロボット操作官の健は、
テロへの警戒を任命されるが、
担当区域には
彼が恋い慕う咲が勤務する
会社が入っていて…。

私も男子の端くれである以上、
「ロボット」が大好きです。
幼い頃は
アニメのマジンガーZに心を奪われ、
少年探偵団シリーズでも
最も好きなのは「電人M」、
ホンダの鈴鹿工場で
生ASIMOを見て感動し、
チャペック「ロボット」
愛読する私です。
したがってラノベまがいの本書も
見過ごすわけにはいきませんでした。

期待しないで読み始めたのですが、
のめり込んでしまい、一
気に読んでしまいました。
それなりに先の展開が
読めてしまうのですが、
最後の最後にやってくる
大どんでん返しには驚きました。

【主要登場人物】
大沢健
…AIロボット技術研究所運用部操作官。
天野陽一郎
…技術研究所エリート研究員。
 健の幼馴染み。
天野咲
…アテナ社営業担当。陽一郎の妹。
 健の幼馴染み。
三号・四号
…健の操作するAIロボット。四号は
 「佐藤翼」として咲に接触する。
武見結花
…女子陸上界のエース。
 咲の大学の同期。
…技術研究所運用部課長。
里見…技術研究所所長。
轟・坂本…アテナ社の咲の同僚。
東條…アテナ社の咲の上司。
菊池…アテナ社の警備主任。

本作品の味わいどころ①
それはloveなのかstalkなのか

「僕はロボットごしの君に恋をする」の
タイトル通り、操作官・健が、
ロボット「四号」・佐藤翼を遠隔操作する
モニターごしに、
幼馴染みの咲に恋をするという、
ラブコメ的な展開が続きます。
これはこれで新鮮味があります。
しかも任務にかこつけて
咲とデートまでしてしまう
(もちろんロボットで)あたりは、
loveなのかstalkなのかわかりません。
極めて現代的な面白さを堪能できます。

本作品の味わいどころ②
途中からミステリ&SFサスペンス

ところが途中から
緊迫感が増してきます。
テロを以前に防ぐ
任務を遂行していたのですが、一転、
指名手配犯として
逃亡者へと立場が変転します。
自分を陥れたのは誰か?
そしてロボット開発における
暗部へと迫る健の冒険!
ミステリとSFサスペンスの色合いが
濃厚になります。

本作品の味わいどころ③
意表を突く最後の大どんでん返し

そして最後の大どんでん返しへと
つながっていきます。
展開がある程度見通せた分、
「やられた」という印象を強く受けます。
終末のその部分だけでも
本作品を読む価値は十分にあります。

ただし、本作品は
重大な矛盾点も抱えています。
それは健がなぜ
自分がロボットであること」に
気づかなかったかという点です。
人間とロボットの違いを
熟知していながら、
それに気づかなかったというのは
いくら何でも無理があります。

しかしながら、
そんなことが些細と思えるほど、
本作品は圧倒的な魅力に
溢れているのです。
なんでもアニメ映画化が
決定しているとのこと。
YouTubeでそのPVが公開されています。

さて、
本作品の舞台となっている2060年、
私たちの社会は
このようになっているのか。
東京で3度目の
オリンピックが開催され、
車は基本的に自動運転となっている、
AI開発が押し進められ、
人間と見分けのつかない
ヒューマノイドが紛れ込んでいる。
きな臭さの漂う現代の延長線上に、
そのような進化発展した未来が
ありそうに思えないのは
私だけでしょうか。

(2022.7.4)

Peace with LoveによるPixabayからの画像

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