読んで愉しい、観て愉しい、全1巻大型本
「西洋美術館」(小学館)
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ルネサンス時代、古代は、
文学から政治思想に至る
さまざまな知識を
読み取ることのできる、
巨大な書物だった。
芸術家もまた、
古代の彫刻や建築に
造形の規範を見出していた。
古代の研究を自分の作品に
生かした画家は数多い…。
読書のための本、ではありません。
全1150頁の大型本、
通して読むべき本ではないのです。
折に触れて、
見て読んで愉しむ本といえます。
発刊されたのは1991年。
すでに30年が経過しています。
でも、今でも
気が向いたときに頁をめくっています。
読んで愉しい、観て愉しい、
多様な楽しみ方のできる一冊です。
【本書の構成】
第1章 ギリシャ、ローマ
1 エーゲ海文明
2 ギリシャ美術の誕生
3 クラシック美術
4 ヘレニズム美術
5 イタリアの古代美術
6 ローマ帝政の始まり
7 ローマ帝政期の美術
第2章 ビザンティン
1 キリスト教美術の誕生
2 神の世界のイメージ
3 イコンの系譜
4 モザイクの聖空間
5 ビザンティン帝国の街
6 新しい理想の表現
7 神の美術の完成
8 帝国の終焉と美術の洗練
第3章 ロマネスク、ゴシック
1 西洋中世のあけぼの
2 紀元一〇〇〇年、終末の時
3 ロマネスク美術
4 盛期ゴシック
5 イタリア、都市の成立
6 国際ゴシック様式
7 中世末期の美術
第4章 ルネサンス1
1 ルネサンスの幕開け
2 規範としての古代
3 偉大なる工房の時代
4 イタリア美術の新展開
5 レオナルド・ダ・ヴィンチ
6 ラファエロと古典主義
7 ミケランジェロ
8 ヴェネツィア絵画の黄金時代
9 幻想と奇想
第5章 ルネサンス2
1 ネーデルラント美術の誕生
2 ネーデルラント絵画の展開
3 15世紀フランス美術
4 ボスからブリューゲルへ
5 ドイツ・ルネサンスの芽生え
6 ドイツ・ルネサンスと宗教改革
7 国際マニエリスム
第6章 バロック
1 イタリアのバロック
2 スペインと中南米のバロック
3 17世紀のフランス美術
4 ルーベンスとフランドルの巨匠たち
5 オランダ絵画の黄金時代
6 ドイツのバロック
第7章 近代1
1 フランス・ロココの精華
2 フランスの社会と文化
3 ヴェネツィアのロココ
4 18世紀のイギリス絵画
5 革命の時代
6 新古典主義の美術
7 ロマン主義
第8章 近代2
1 レアリスム
2 印象派の時代
3 ロダンと近代彫刻
4 後期印象派
5 印象主義と世紀末美術
6 近代の建築とデザイン
第9章 20世紀
1 造形主義の幕開け
2 精神のアヴァンギャルド
3 フォルムの復権
4 イデオロギーと美術
5 廃墟の中から
6 公衆と向き合う美術
7 スペクタクルとしての美術
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本書の多様な楽しみ方①
読んで愉しい西洋文化芸術史
この章立てだけを見ても
わくわくしませんか。
単なる美術の解説に止まらず、
西洋史の流れの中で
美術の変遷を論じているのです。
見開き2頁で完結している構成は、
わかりやすさこのうえなしです。
頁をめくって、つまみ食いするように、
気になる箇所を読み味わうと、
自分の心が豊かになったような
気がします。
美術にまったく無知な私でさえ、
30年間も愉しむことができました。
特に最近では、もう一つの趣味・
クラシック音楽鑑賞において、
古楽(中世・ルネサンス・
バロック期の音楽)を
開拓するようになり、
音楽と美術の関係性についての
学びにも役立っています。
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本書の多様な楽しみ方②
観て愉しい西洋美術の美しさ
挿入されている図版は
全部で3000点以上。
文章を読まなくとも、
眺めているだけで
幸せな気分に浸ることができるのです。
印刷もきわめて美麗であり、
素人であっても
その美しさに感動できます。
まるで美術館に何度も足を運んだような
錯覚を起こすほどです。
もちろん本当の美しさは、美術館で
実物を見るべきなのでしょうが、
私のように地方在住では、
美術館など数年に一度くらいしか
訪問の機会がありません。
いや、都会在住者であっても、
実物を見ることのできるのは、
本書掲載の美術品の
1%にも満たないはずです。
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本書の多様な楽しみ方③
飾って愉しい豪華大型美術本
大型本で重い上、場所も取るのですが、
こうした本がいくつかあっても
楽しいものです。
昭和の時代は百科事典に代表される
大型本の全集セットが
豊かさの象徴のように
家庭に入り込んできていたのですが、
さすがに平成になると、
そうした書籍は姿を消し、
全1巻の大型本が
見られるようになりました。
それもつかの間、
数年後にはそれも見られなくなり、
「週刊百科」なる形態へと、
変化していくことになります。
本書を出版した小学館でさえ、
本書出版の10年後には
「週刊西洋絵画の巨匠 全50巻」を
刊行しています
(内容は本書と異なるものの)。
ありそうで他にはない、全1巻の大型本。
こうした本が、生活に彩りを与え、
心を潤していきます。
もはや中古をあたるしかないのですが、
ぜひ探してみてください。
(2022.11.22)
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【大型本はいかがですか】
大型本はいかがですか。
本書ほどの豪華さではありませんが。
面白そうなものがたくさんあります。
【今日のさらにお薦め3作品】
【こんな本はいかがですか】
【今日のお知らせ2022.11.22】
以下の記事をリニューアルしました。