「リアルサイズ古生物図鑑 古生代編」(土屋健)

抱腹絶倒・破顔大笑・失笑噴飯ものの面白さ

「リアルサイズ古生物図鑑 古生代編」
(土屋健)技術評論社

「リアルサイズ古生物図鑑 古生代編」

「さあさあ、見ていってよ。
 今日は、
 アノマロカリスが入ってるよ。
 ぷりっぷりの触手は
 焼いてオイシ、
 胴体は捌いて酢漬けにすれば
 コリコリで、
 肝は酒の肴に最高さ。
 お値段勉強するよ!」
 そんな威勢の良い声が
 聞こえてきそうだ…。

これは面白い!
近年これだけ面白い本が
あっただろうか!
古生代の生物は形が奇抜で
それだけでも面白いのですが、
それが現代の空間に現れたら
このようなサイズである
(はず)という図鑑です。
このアイディア、完全に脱帽です。

脱帽ものの面白さ①
比較物との組み合わせの妙

古生物たちが
いろいろなものと比較されています。
カルニオディスクスは
するめいかと並べられて海辺に干され、
オットイアは
ソーセージに添えられ
ビールのつまみになっている。
アノマロカリスは
サバとともに鮮魚店の店頭に並び、
ウィワクシアは中華まんと一緒に
竹せいろの中で蒸されている。
ネクトカリスは
寿司ねたとして握られ、
シダズーンは具材の一つとなり
おでんの中に紛れ込む。
生物名からその姿をイメージできる方は
少ないでしょうから、
これだけ読んでも何のことやら
分からないかと思います。
でも、一度本書を手にとって
ページをめくると、
抱腹絶倒の面白さを
味わうことができます。

脱帽ものの面白さ②
最新のCGで再現したリアルな質感

誰も見たことのない古生物たちを、
いかにも現実に
存在するかのような
リアルな質感のCGに唸らされます。
ケファラスピスは
隣に並んだスリッパと
見まごう外観なら、
ボスリオレビスは
ヴァイオリンと同じような
美しい艶を放っている。
ドレパナスピスは
いかにもラケット替わりに
ボールを打ち返せそうな硬質さで、
クリマティウスは
実に美味しそうな焼き色がついている。
そのまま再現するのではなく、
ところどころに
「脚色」が施されているのも
破顔大笑の面白さです。

脱帽ものの面白さ③
ユーモア溢れる解説

「ある水族館では、
イルカショーに最近、
新しい仲間が加わった。
その新入りの名前は
クラッシギリヌス・スコティクスという。
(中略)もちろん、
世界中のどの水族館でも
見ることはできないのでご注意を。」
CG写真が合成なら、
解説もフェイクです。
実際の事柄についてはわざわざ
「史実では」と断り書きを入れるほど、
フェイクが主になっているのです。
見て面白いだけではありません。
じっくり読めば
失笑噴飯してしまう面白さです。

※中身をぜひ紹介したいのですが、
 著作権の絡みもありますので、
 下のAmazonを
 ぜひのぞいてみてください。

実は新聞広告で見かけ、
ネットで情報を得て、
その面白さに昂奮し、
でも三千円を超える値段に気後れし、
学校司書にお願いして
図書館に購入してもらい、
生徒よりも先に借りて、
この1週間ずっと読み続けていました。
すみません、
ちゃんとお金を払って自分で買います。
それはそうと、
全国の中学校の図書館に置くべき
最高の図鑑です。

※本書は単なる
 企画ものではありません。
 著者・土屋健氏は
 古生物学の権威であり、
 多くの学術書を著しています。
 専門家が真面目にふざけて創った
 図鑑なのです。

※まもなく(7月22日)に第2弾として
 「リアルサイズ古生物図鑑中生代編」
 出版されます。
 古生代編とともに
 2冊揃えて購入する予定です。

(2019.6.29)

〔追記〕
2冊購入しました。

(2019.8.10)

〔追記〕
第3弾「新生代編」も買いました。

こちらもオススメ!

(2021.3.16)

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