「元素周期 萌えて覚える化学の基本」

萌え本と思って侮るなかれ

「元素周期 萌えて覚える化学の基本」
 PHP研究所

発刊からすでに10年以上が経ちます。
いわゆる萌え本の
先駆け的存在の一つです。
他の出版社の萌え本に比較し、
実用性が格段に違います。
そのため、私は今でも
時間のあるときに
ページをめくっています。
では、どこが実用的なのか?

一つは元素の特徴を
上手くつかんだ擬人化です。
ただ単に萌えるだけではありません。
元素のイメージを
再現しやすいように
工夫されているのは
利用価値が高いと思います。

そもそも化学は
原子・分子が見えもしないのに
見ているように
考えなければならない学問です。
化学が(というよりも理系科目が)
苦手な子どもは、
この「見えないものを見る」
思考作業が苦手なのです。
元素を擬人化した本書を読めば、
イメージをつかみやすいと思うのです。

二つめはデータの豊富さです。
紙面を効果的に使って
原子番号・元素記号・
元素名(日本語と英語)・
元素名の由来が紹介されています。
それらを配置するデザインも秀逸です。

また「SPEC」として、
原子量・融点・沸点・密度・原子価・
存在度・同位体の基本データに加え、
発見年・発見者・存在形態が
丁寧に掲載されています。

さらにはイラストとして
電子構造図と利用例が
載せられています。
この電子構造図が貴重です。
全元素について記されている本は、
実はなかなかありません。
専門的になるほど
省略されているからです。

三つめは読み物としても
充実している点です。
見開き右ページ下半分は
その元素のエピソードが
紹介されています。
特に人類との関わり、
文明における必要性、
特殊な利用例など、
専門書がカバーできない部分を
見事に取り上げています。

以上の理由から本書を
中学校・高校の
学校図書館必携の書として
強く押したいと思うのです。
化学嫌い・理科嫌いの子どもが
一人でも減ることを期待したいのです。
萌え本と思って侮るなかれ、です。

それにしてもかつては
サブカルチャーとして扱われた
萌え化・キャラ化は、
今や日本の大衆文化まで
進化・発展してしまいました。
以前紹介した
「あの文豪の素顔がわかる 文豪図鑑」
(自由国民社)なども
その延長線上にあるのでしょう。

(2019.7.6)

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