「死ぬほど読書」(丹羽宇一郎)

「読書は必要か」という問いに対する一つの解答

「死ぬほど読書」
(丹羽宇一郎)幻冬舎新書

読書に関する新書本は幾多もあり、
私自身、
十数冊は買い込んだでしょうか。
読みながら「うんうん、そうだよね」
などと自分の読書の姿勢が
正しいことを確認し、
自己満足に浸っています。
もっとも「読書の姿勢」などは
十人十色ですので、
納得できない部分もあれば、
新しい気付きもあります。

さて、本書は私にとって
何冊目かの読書論ですが、
購入の理由は「はじめに」の内容に
引かれたからです。
新聞に掲載された大学生からの投書
「読書はしないといけないものなのか」
からの問題提起を
筆者は行っているのです。
従って本書はその問いに対する
解答を書き綴ったものになっています。

「第1章 本に代わるものはない」
情報源としての
本の価値について述べています。
簡便なネット情報は
必ずしも信頼の置けるものとはいえず、
ネットの影の部分を補完するものとして
本の価値は今後より高まっていくという
見解を示しています。
そして教養を磨くものとして筆者は
「仕事と読書と人」と解いています。
筆者の読書に対するスタンスが
明確になっている章です。

「第2章 どんな本を読めばいいか」
ここで筆者は本を選ぶことの
重要性について指摘しています。
筆者は「タイトル」「目次」
「装丁」「あとがき」を挙げていますが、
結論としては
「決め手はない」ということでしょうか。
「ハウツー本は読まない」
「古典の値打ち」
「ベストセラーは読む価値があるか」
「週刊誌は読書に入るか」等、
いろいろな切り口から自身の本選びの
基準について述べています。

「第3章 頭を使う読書の効用」
「第4章 本を読まない日はない」

筆者はここで
読書によって論理的に考える力が
身に付くことを強調しています。
そして読書が自身の日常に
深く組み込まれている状況を
紹介しています。

「第5章 読書の真価は生き方に表れる」
「第6章 本の底力」

読書はその人の
仕事に反映されるということを、
自身の例を挙げて説明しています。
読書から得た先人たちの知識や経験が、
仕事上の問題解決の突破口となることが
多いのだそうです。
また、読書は
自分自身との対話であるとともに、
著者との対話でもあるということ、
読書がその人の心を広く豊かにし、
品性を磨き上げることについて
力説しています。

私のように
「読書が三度の飯より好きだ」という
人間にとっては
目新しいものはあまりないのですが、
「はじめに」で紹介されている
「なぜ本を読まなければならないのか」
という疑問を持っている
若い人たちには
一つの答えを提示している本と
いえるでしょう。
本をあまり読まない高校生に
薦めたいと思います。

(2019.7.22)

Dariusz SankowskiによるPixabayからの画像

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