再び、本の海へ~本の海の不思議な体験
ファンタジー小説が大好きです。
子ども向けだろ、と侮ることなかれ。
近年、素晴らしい作品が
続々と登場しています。
日本文学はこれまで
ファンタジー小説が
軽視されていたと思うのです。
深刻なテーマの
純文学ばかりが重宝されて。
でも、そんな時代はもう終わりました。
中学生に薦めたいファンタジー小説
8作品を選んでみました。
その1:
「コンビニたそがれ堂」(村山早紀)
駅前商店街のはずれ、
赤い鳥居が並んでいるあたりに、
夕暮れどきになると
あらわれるという
不思議なコンビニ「たそがれ堂」。
大事な探しものがある人が
訪れると、必ずここで
見つけられるという。
今日その扉をくぐるのは
一体誰…?
その2:
「佐藤さん」(片川優子)
「僕」は佐藤さんを恐れている。
それは別に佐藤さんが
暴力的だとか不良だとかと
いうわけではない。
佐藤さんは
いたって普通の女の子で、
誰にでも優しい。
でも、「僕」には
見えてしまうのである。
佐藤さんの後ろに
ついているモノが…。
その3:
「プラネタリウム」(梨屋アリエ)
美野里は未来から、
通学路で出会う
素敵な大学生のことを
調べて欲しいと頼まれる。
美野里は心が不安定になると
体から踏切の警報音を発する
「踏切人間」。
未来は心がときめくと
その思いが結晶化し、
破片を散らす
「結晶人間」だった…。
その4:
「天国の本屋」(松久淳+田中渉)
就職先の決まらない
大学4年生のさとしは、
ある日アロハシャツの
不思議な老人ヤマキと出会う。
ヤマキに連れてこられた先は
何と天国。そこにある本屋
「ヘブンズ・ブックサービス」で
働くことになったさとしは、
なんと読み聞かせを…。
その5:
「りかさん」(梨木香歩)
リカちゃん人形が欲しかった
ようこのもとに届けられたのは、
黒髪の市松人形「りかさん」。
しかし、「りかさん」を
部屋に飾って目覚めた朝、
ようこの悲しい気持ちは
全て吹き飛んでいた。
そして一週間後、
「りかさん」は話し始める…。
その6:
「忘れないと誓ったぼくがいた」
(平山瑞穂)
平凡な高校3年生・葉山タカシが
恋に落ちた少女・織部あずさには
ある秘密があった。
彼女には存在している時間と
消失している期間が
交互に訪れるのだという。
そして消失期間が
しだいに長くなり、
いずれは完全に
消滅するのだと…。
その7:
「ゆめみの駅遺失物係」(安東みきえ)
引っ越してきた町で、
中学校に馴染めずにいた
「あたし」は、ひょんなことから
ゆめみの駅にある
遺失物係にたどり着く。
そこは誰かが忘れた「おはなし」が
世界中から届けられ、
「遺失物語台帳」に収められている
不思議な場所だった…。
その8:
「神さまのいる書店」(三萩せんや)
本好きの高校生・ヨミは、
夏休みのアルバイト先として、
司書教諭から
「まほろば屋書店」を紹介される。
そこは、魂が宿り生きている本
「まほろ本」を扱う、
不思議な書店だった。
ヨミはそこで無愛想な
金髪の青年・
サクヤと出会って…。
その9:
「波の音が聞こえる」(乾ルカ)
海に浮かぶ謎の城に迷い込んだ
中学生・健太郎。
城の中には同じように
囚われた人々が暮らしていた。
彼はそこで暗い目をした
少年・貴希と出会う。
門番は、城から出て
元の世界に戻るには
「出城料」が必要だと言う。
「出城料」とは何か…。
9冊を選ぶ段階で、
現代作家に絞りました。
本当は
星新一の「ブランコのむこうで」や
佐藤さとるの
コロボックルシリーズなども
加えたかったのですが、
別の機会に譲ります。
新学期を迎えた中学2年生に
薦めることを想定しています。
ともすれば中だるみしがちな
中2の1年間を、心に潤いを持って
スタートさせることができればと
思います。
(2020.3.31)
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