「諦めない」とはこういうレベルのことだよ
「十二番目の天使」
(マンディーノ/坂本貢一訳)求龍堂

妻と一人息子を
突然の事故で失ったジョン。
生きる希望を失いかけたとき、
親友・ビルが持ってきたのは
リトルリーグ監督就任の
話だった。彼はそこで
12人の子どもたちと出会う。
しかし一人だけ飛び抜けて
野球の下手な子がいて…。
20年くらい前に
ベストセラーになっていた作品に、
ようやく巡り会うことができました。
オグ・マンディーノの
「十二番目の天使」です。
【主要登場人物】
ジョン・ハーディング
…業界最大手会社社長。
リトルリーグの監督を
務めることになる。
ティモシー・ノーブル
…チームでもっとも体格が小さく
野球が下手。
ビル・ウェスト
…ジョンの親友。チームのコーチ。
メッセンジャー
…ティモシーの主治医の老医師。
サリー…ジョンの亡き妻。
リック…ジョンの亡き息子。
生きる希望を失ったジョンが、
親友から頼まれて監督を引き受けた
リトルリーグのチームで、
下手であるにもかかわらず
一生懸命プレーするティモシーの姿から
生きる意味を教えられる。
わかりきった筋書きであるにも
かかわらず、
終盤では涙が止まりませんでした。
オグ・マンディーノらしい
自己啓発のためのメッセージが
そこここに鏤められていて、
感動とともに勇気が与えられます。
そのメッセージは
シンプルであるが故に、
大きなエネルギーを持っていると
いえます。
特にたびたび登場する
「絶対、絶対、絶対、絶対、絶対、
あきらめるな!」には、
考えさせられるものがありました。
中学校に勤務していると、
「絶対諦めない」という言葉を
子どもたちが口にする場面に
何度となく出くわします。
「その意気だ!頑張れ!」と
励ましながらも、心の中では
「どれだけの覚悟でその言葉を
話しているのだろうか」と
疑問も湧いてしまいます。
多くの子どもたちが、
簡単に、実に簡単に、
その言葉を話した数日後に、
実際は諦めているからです。
「全県大会で優勝します。
絶対に諦めません」と誓った数日後に、
練習をサボり始める運動部員。
「○○高校に合格します。
絶対に諦めません」と言い切った
数週間後には、意欲をなくし
学習時間を激減させてしまう受験生。
「将来は医師になります。
絶対に諦めません」と宣言した
数ヶ月後には「数学は私には無理」と
学習を投げ出す高校生。
数え切れないだけ見てきました。
そうした子どもたちは、
困ったことには自分が諦めたことに
気づかないし、認めないのです。
だから叱咤激励の言葉も
耳には届きません。
「諦めない」とは
こういうレベルのことだよ、と
子どもたちに教えてあげたい気分です。
いやいや、冷静に振り返れば、
自分自身もそうやって幾度となく
「諦め」を繰り返してきたことに
思い当たります。
まずは私たち大人が範を示して、
現代の子どもたちに「諦めない」姿を
見せるべきなのかもしれません。
「諦めない」ことの
教科書ともいえる本書を、
中学生高校生、そして
何かに諦めかけている大人のみなさんに
強くお薦めします。
(2022.1.26)

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