わからないでしょう。えっ、わかる?
「なぞの転校生」(眉村卓)角川文庫

中学2年生の広一のクラスに
転校してきた美少年。
彼は成績優秀、
運動抜群のスーパースター。
ところが何と、そうした
優秀な美少女美少年たちは、
他のクラスにも、
他の学校にも現れていた。
しかし、
彼らには秘密があった…。
これぞ学園ものSFの傑作です。
昭和の時代の青春系SF小説を
3つあげよと問われれば、
映画化された
筒井康隆の「時をかける少女」と
眉村卓の「ねらわれた学園」が
双璧なのですが、
あと1編加えるとすれば本作です。
70年代に
NHK少年ドラマシリーズで
TV化されました。
わくわくしながら観たのを
覚えています。
ストーリーそのものは
現代となっては陳腐かも知れません。
多元宇宙の中の一つの次元世界が
核戦争で滅び、
残された一部の人間が
次元転移装置で
別の世界へやってくる。
レトロ感さえ漂っています。
でもいいのです。
私たちの世代はそうしたものに
わくわくしながら
成長したのですから。
私にとってSFとは
こういう作品世界なのです。
それでいて、
いろいろな部分が現代の世界にも
通用しているから面白いのです。
「みんな、
気にしていないらしいが、
雨の中の放射能だって、
どれだけおそろしいものか…
それを考えたことはないのか」
本作品後に
スリーマイルの事故が起こり、
チェルノブイリの惨事があり、
そしてフクシマの悲劇があったのです。
それらを予見していたかのような
台詞です。
「D-26世界の人たちは、
そうした次元ジプシーなどを
受け入れることはできないと
考えていたんだ…
どんなジプシーであろうと、
自分たちの中に入れることを
決して許さなかった…」
難民問題に悩む欧州の政府か、
移民を徹底排除しようとしている
米国の大統領を
相手にしているかのようです。
本作品発表は1967年、
すでに半世紀が過ぎました。
でも、
いいものはやっぱりいいのです。
中学生の時に買った文庫本は
とっくに処分済み。
もう一度読みたいと思ったときは
絶版の壁。
なぜかブックオフにもヤフオクにも
なかなか出回らない。
今回ようやくゲットできました。
ああ懐かしい。
ドラマの放送を見たのは
40代後半から60代ぐらいまでの
世代でしょうか。
今の若い人だとわからないでしょう。
えっ、わかる?
なんと2014年に
リメイクされていたとは!
(2019.3.16)

※現在は講談社文庫から出版中です。
