「日本恐竜探検隊」(真鍋真・小林快次)

日本の恐竜研究はいま

「日本恐竜探検隊」
(真鍋真・小林快次)岩波ジュニア新書

「あなたの専門は何ですか?」と
聞かれたとき、
理科教師の私はこう答えます。
「巨大生物学です」と
(本当は化学なのですが)。
もちろん巨大生物学などという学問は
ありません。私は大きな生きもの、
つまり怪獣と恐竜が大好きなのです。

残念ながら怪獣については
当ブログで扱うのは困難ですが、
恐竜ならこの本を
取り上げることができます。

現在、日本各地から
多くの恐竜化石が見つかり、
それをもとに日本の研究者が
世界最先端の研究をしています。
しかし日本で発掘されているのは
体の一部や歯の化石など、
断片がほとんどなのです。
そこからどのような手法で
種を同定するのか、
古生物学全般に通じる研究の過程を
紹介しています。

1 恐竜とは何だろう(小林快次)
2 サハリンのニッポノサウルス
 (鈴木大輔)
3 夕張の鎧竜(早川浩司)
4 神流のスピノサウルス類 真鍋真)
5 手取層群の恐竜たち(真鍋真)
6 勝山のフクイサウルス(小林快次)
7 鳥羽のティタノサウルス類
 (冨田幸光)
8 御船層群の恐竜たち(池上直樹)
9 日本の恐竜研究はいま(小林快次)

各章の見出しを見ただけで、
私などはもうワクワクしてきます。
中生代の時代に、これだけの恐竜が
日本列島を闊歩していたのかと
驚くばかりです。恐竜とは
大陸だけの存在ではなかったのです。

読み進めるうち、あたかも自分が
その化石の発見者として
研究を行っているかのような
錯覚さえ感じました。
日本の恐竜研究は
まだまだ現在進行形なのです。
私も人生をやり直せるなら、
恐竜研究者の道を進みたい!
若い人が羨ましい限りです。

ただし、本書に過剰な期待を持って
読み始めると、おそらく
「あれ、なんか違う…」ということに
なるかも知れません。
本書は「恐竜について」ではなく、
あくまでも「恐竜研究について」
解説してある本なのです。
「恐竜そのものを知りたい!」という
欲求は叶えてくれません。
「恐竜」以上に、「恐竜探検」に
興味のある方にお薦めです。

※本書は分類についての
 専門用語も多く、
 文章を読み取るのがやや難解です。
 少なくとも高校レベルの自然科学の
 知見が必要と思われます。
 なにゆえ岩波書店が本書を
 「ジュニア」で刊行したのか?
 そのまま「岩波新書」でも
 通用していたのではないかと
 思われるような内容です。

(2019.7.11)

Dariusz SankowskiによるPixabayからの画像

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