「なんにもないけどやってみた」(栗山さやか)②

誰にも真似のできない素晴らしい生き方

「なんにもないけどやってみた」
(栗山さやか)岩波ジュニア新書

前回は本書について、
発展途上国の現状を最前線で捉えた
報告書としての一面から
取り上げました。
実はそれ以上に、
著者の活動や考え方こそ、
子どもたちに
読み取ってほしい部分なのです。

渋谷のショップ店員だった著者が、
世界放浪の旅の途中で立ち寄った
エチオピアで、
医療施設のボランティアスタッフとして
活動する様子が記録されています。
この1冊を読み通す間に
何度涙がこぼれそうになったことか。
著者の生き方は、
私も大いに勉強になりました。

一つは、自分を大きく変えることが
できた点です。
死の淵にいた親友に
寄り添うことができなかった
自分の在り方を自己批判し、
化粧やブランド者の洋服に向いていた
自分の価値観を180度
転換させているのです。
外見への固執を一切断ち切り、
自分の内面へと目を向ける。
簡単にできることではありません。

一つは、一冊の本との出会いから
海外放浪の旅を決意した点。
おそらくそれまで本などほとんど
読んでいなかったのではないかと
推察されるのですが、
自分を変える行動に
大きく踏み出すことができる一冊に
出会えたのです。
一生に一度あるかどうかの、
本との素敵な出会いができた。
羨ましいかぎりです。

そして一つは、言葉も通じない海外で、
それも貧困を極めた国で、
たった一人で行動を開始した点。
海外ボランティアそのものは
珍しいものではありません。
しかし、著者のように
何の準備や予備知識もなく、
アフリカで医療ボランティアとして
活動する勇気と行動力には
ただただ頭が下がります。

著者は2009年には
現地でNPOを立ち上げ、
さらなる行動を開始、
2012年には
モザンビークの医療学校に入学、
2014年には医療技術師国家資格取得、
現在も精力的に活動中です。

この行動力、この勇気、この決断力は
一体どこから湧き上がってくるのか?
本書の表紙を見る限り、
どこにでもいる
「若い女の子」なのですが、
誰にも真似のできない
素晴らしい生き方をしています。

こうした本を中学生の段階で
読むことができるのですから、
現代の子どもたちは幸せです。
自分のまわりのせまい世界に
閉じこもっている子ども、
自分に自信を持てない子ども、
夢をもつことを
ためらっている子ども、
そんな子どもたちに
ぜひ読んで欲しい一冊です。

※私も中学生の頃に、
 こんな本に出会えたら、
 きっと私の人生も大きく
 変わっていたかも知れない…、
 と思いましたが、
 私にはそうした生き方は
 できなかったでしょうね。
 いやいや、まだまだこれから…、
 と思いたいものです。

※出版するつもりで
 書き起こしたものではなく、
 ブログ上の文章を拾い上げて
 編集したためのようなのですが、
 日本語の文章としては決して
 よくできたものとは言えません。
 しかしそんなことは
 微塵も気にならないほど、
 深い感動を味わうことができます。

(2019.11.27)

ralph_rybakによるPixabayからの画像

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