「阪田寛夫詩集」(阪田寛夫)
童心に返ることが出来る詩集 「阪田寛夫詩集」 (阪田寛夫)ハルキ文庫 詩集という分野は、 文庫本の中でもマイナーな存在です。 中学生の子どもが、 書店の書棚から詩集を持って レジへ向かう。あり得ない光景です。 詩集こそ大...
童心に返ることが出来る詩集 「阪田寛夫詩集」 (阪田寛夫)ハルキ文庫 詩集という分野は、 文庫本の中でもマイナーな存在です。 中学生の子どもが、 書店の書棚から詩集を持って レジへ向かう。あり得ない光景です。 詩集こそ大...
おじいさんの罪のない嘘と「ぼく」の優しい素直な心 「オーケストラの少年」(阪田寛夫) (「それはまだヒミツ」)新潮文庫 見知らぬおばはんから どやされながらも 地下鉄の車両の窓を開け、 外の音に聴き入っている おじいさん...
6000倍の価値を付加できる清兵衛の才能 「清兵衛と瓢簞」(志賀直哉) (「清兵衛と瓢簞・網走まで」)新潮文庫 12歳の少年・清兵衛は大の瓢簞好き。 それを父親も教師も快く思わない。 ある日、清兵衛は 十銭で手に入れた ...
読み手に深い感動を与える「手法」と「構成」 「和解」(志賀直哉)新潮文庫 前年に幼くして死んだ娘の 墓参りに上京する「自分」。 麻布の家に電話をかけると、母は 「今日は家に父親がいる」という。 「そうですか。又その内に ...
日常をありのままに描いて小説になる 「流行感冒」(志賀直哉) (「百年文庫004 秋」)ポプラ社 最初の子を 病で死なせてしまった「私」は、 最愛の娘のために、 家族の衛生面に 神経質なまでに気を配る。 流行感冒が町に流...
今日のミステリーの謎解きよりも難解 「笵の犯罪」(志賀直哉) (「清兵衛と瓢簞・網走まで」)新潮文庫 若い奇術師・范は、 ナイフ投げの技が失敗し、 妻を殺してしまう。 笵はすぐに身柄を拘束される。 ところがこの事件は 衆...
堀の傑作「菜穂子」につながる初期2作品 「ルーベンスの偽画」「聖家族」 (堀辰雄) (「菜穂子 他五篇」)岩波文庫 「ルーベンスの偽画」 避暑地・軽井沢にやってきた「彼」は、 母親とともに別荘で過ごしている 「彼女」に片...
菜穂子が愛のない結婚に踏み切った理由 「楡の家」(堀辰雄) (「菜穂子・楡の家」)新潮文庫 「私」は娘である菜穂子に いつか読んでもらうために 日記を手帳に綴る。 「私」は娘に過失を持った 一個の人間として 見てくれるこ...
孤独感を読み解くべきなのでしょう 「菜穂子」(堀辰雄) (「菜穂子・楡の家」)新潮文庫 前回「感動的なやりとりが あるわけではありません」と書きました。 菜穂子と明の 再会場面だけではありません。 物語全体に大きな起伏が...
感動的なやりとりがあるわけではありません 「菜穂子」(堀辰雄) (「菜穂子・楡の家」)新潮文庫 幼なじみの菜穂子と明は、 雑踏の中で お互いを偶然見かけあう。 明の目に映った菜穂子の姿は、 空虚な眼差しで 幸福そうには見...