「万葉集」(角川書店編)

万葉集は難しい、だから入門書。

「万葉集」(角川書店編)角川ソフィア文庫

七世紀前半から八世紀半ばまで、
約130年間にわたる歌、
約4500首を収めた「万葉集」。
全首を収録した上下巻の文庫本
(角川文庫)を学生時代に買ったものの、
あれから四半世紀以上が
過ぎたにもかかわらず、
いまだにすべてを読み通していません。
数ページ読んでは放り出す始末。
それでも気に入った部分だけ
ちびちび読んでいるので、
それなりには自分の身に
なったのかも知れませんが。
でも、やはり
万葉集は難しいと思います。

そもそも、
歌の意味がわかりません。
時代背景も地理的な要素も、
しっかりとイメージできません。
いかに自分が勉強不足であるか、
痛感しています。

そこで一から出直そうということで、
そうなるとやっぱり
ビギナーズ・クラシックスシリーズです。
恰好の入門書だと思います。
厳選された約140首が
収録されています。
そしてそれらに訳文、
解説、資料がついています。

教科書で学習した歌もちらほら。

 石走(いはばし)る
 垂水(たるみ)の上のさらわびの
 萌え出づる春になりにけるかも

志貴皇子(しきのみこ)の歌です。
この歌人は、
ほかにも素晴らしい歌を残していました。

 采女(うねめ)の
 袖吹きかへす明日香風
 都を遠みいたづらに吹く

歌と歌には繋がりがあることも
知ることができました。

 あかねさす
 紫野行き標野行き
 野守は見ずや君が袖振る

 (額田王)

 紫草のにほへる妹を憎くあらば
 人妻故に我(あ)れ恋(こ)ひめやも

 (大海人皇子)

この2首はワンセットだったのですね。
しかも大人の静かでたおやかな
恋愛感情が伝わってきます。

わずか250ページですが、
いろいろな発見がありました。
もっと早く
この本に出会えばよかった…。
でも、
考えてみると収録数約140首は
全4500首の
たったの3%にしかなりません。
残り97%をも味わうことができれば、
いにしえの日本人の心に、
さらに接することができるのでしょう。

かといって、
全4500首すべてについて
解説を付した本を想像すると、
それは膨大なページ数になるはずです。
…無理ですね。
頑張って全首収録版に挑戦します。
…いつかそのうち。

(2018.12.17)

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