「白い満月」(川端康成)
死の臭いで惹かれ合った二人 「白い満月」(川端康成) (「百年文庫039 幻」)ポプラ社 温泉場の別荘に雇われた 十七歳のお夏の率直な言動に、 療養中の孤独な「私」は 心を動かされる。 ある日彼女は、 谷川を見ているう...
死の臭いで惹かれ合った二人 「白い満月」(川端康成) (「百年文庫039 幻」)ポプラ社 温泉場の別荘に雇われた 十七歳のお夏の率直な言動に、 療養中の孤独な「私」は 心を動かされる。 ある日彼女は、 谷川を見ているう...
文豪の想像力はかくも凄まじいものなのか 「眠れる美女」(川端康成)(「眠れる美女」)新潮文庫 江口老人が訪れた先は、 「すでに男でなくなっている」 老人のみが 迎え入れられる宿だった。 通された一室の隣に設えてある、 鍵...
妖しい世界の表層をはぎ取れば 「片腕」(川端康成)(「眠れる美女」)新潮文庫 ふと目覚めたとき、 「私」の目に映った不気味なものは、 右腕であった。 ベッドに 「私」の右腕が落ちていたのだ。 全身が戦慄した「私」は、 慌...
妖しい、実に妖しい物語です。 「片腕」(川端康成)(「眠れる美女」)新潮文庫 「片腕」(川端康成)(「日本文学100年の名作第6巻」) 新潮文庫 「片腕を一晩お貸ししてもいいわ」。娘の言葉に従い、「私」は娘の「右手」を借...
名作の冒頭の一文を間違えて記憶していた 「雪国」(川端康成)新潮文庫 昨日取り上げた名作「雪国」。 書き出しの一文は、 日本文学史上最高のものであり、 読んだことはなくとも その一文だけは知っているという方も 多いのでは...
川端文学の難解さの理由 「雪国」(川端康成)新潮文庫 雪深い温泉町で 芸者・駒子と知り合った島村は、 彼女の清廉で一途な生き方に 心を惹かれながらも、 ゆきずりの愛以上のつながりを 持つことができなかった。 そして島村は...
大人目線は絵本の味わいを台無しにしてしまう 「ぐりとぐら」(中川李枝子)福音館書店 料理が好きな 野ねずみの「ぐり」と「ぐら」は、 どんぐり拾いの最中に 大きな大きな卵を見つける。 二人はその卵でカステラを作ろうと、 大...
本の素晴らしさ・子どもの素晴らしさ・絵本の素晴らしさ 「本・子ども・絵本」(中川李枝子)文春文庫 私のつれあいが絵本好きなもので、 我が家には絵本がたくさんあります。 二人の子どもも 成人してしまいましたので、 それらを...
これこそ大人だけが楽しむ横溝ミステリー 「華やかな野獣」(横溝正史)(「華やかな野獣」)角川文庫 「本牧の吉田御殿」と噂される臨海荘。そこでは仮面で顔を隠した男女が集まり、それぞれ夜の相手を物色していた。意気投合したカッ...
由利・三津木の事件簿09 何でもありの面白さ、横溝の戦前の作風の頂点 「夜光虫」(横溝正史)(「由利・三津木探偵小説集成2」) 柏書房 「夜光虫」(横溝正史)角川文庫 両国の川開きの夜、護送中の犯人が捕縄のまま逃走し、屋...