これならわかる!中学校1年生でも大丈夫!
「カラー版 宇宙に行くニャ!」
(山田ふしぎ)岩波ジュニア新書
これならわかる!宇宙について
解説した新書本となると、
とかく難しいことばかり並べて、
ある程度の知識を有していないと
理解できないものが多いのですが、
本書は違います。
中学校1年生あたりから
十分読みこなせます。
本書のわかりやすさ①
なんと漫画!
一番の特徴は漫画であること。
これなら読書に慣れていない
中学生でも大丈夫です。
本書のわかりやすさ②
素人目線で構成!
専門家が著すと、
どうしても専門的になりがちです。
深く掘り下げる割には、
専門外のところは
極力省こうとしがちです。
本書は違います。
天文や宇宙の領域にとらわれず、
素人の目線で
疑問に感じがちなところに焦点を当て、
わかりやすく解説しているのです。
一例を挙げると、
「低い位置にある太陽や月はなぜ赤い?」
これは光の散乱によるものであり、
「宇宙」に関わる学問ではなく、
物理学や光学の領域です。
しかしこうした素朴な疑問に
丁寧に向き合っている姿勢こそ
「わかりやすさ」の源泉なのです。
本書のわかりやすさ③
滲み出る「宇宙への憧れ」!
著者自身の「宇宙への憧れ」が
前面に押し出され、
読み手の興味関心を刺激しています。
構成にもそれが現れています。
章立てを見ると、
「1 彗星の謎に迫る」
「2 目ん玉焼きのエピソード」
「3 ロケットをつくろう」
「4 とうとう宇宙に飛び出した」
「5 ネコ歴20XX年太陽系の旅」
「6 地球への帰還」
自分が宇宙へ飛び出し、
そして帰ってきたような
錯覚に陥るくらいです。
さて、そうした初歩的な事象を中心に
取り扱っているのですが、
私もはじめて知る内容が
いくつかありました
(単なる私の不勉強なのですが)。
例えば流星の正体について。
宇宙のちりが大気圏に突入するとき、
大気との摩擦で燃えるからと、
単純に理解していました。
これは大気との摩擦により
チリが気化し、それがプラズマという
状態になり発光するのだと。
なるほど、勉強になりました。
また、日食の太陽を見るとき、
直接肉眼で見てはいけないのは
当然のことなのですが、下敷き等で
見るのも危険であるということも
はじめて知りました。
安全に作られてある
日食グラスを使うべきとのこと。
危ない危ない。
このわかりやすい一冊から、
宇宙の世界、化学の世界、
読書の世界に入門できるなら、
素晴らしいことです。
中学校1年生にお薦めします。
(2019.7.9)