「夢の逃亡(作品集)」(安部公房)
その傷口から生み出された作品たち 「夢の逃亡(作品集)」(安部公房) 新潮文庫 「牧草」「私」が受け取った「彼」からの手紙には、自らの手落ちで妻を死なせてしまった顛末が綴られていた。一年前に偶然出会い、話をしただけの「彼...
その傷口から生み出された作品たち 「夢の逃亡(作品集)」(安部公房) 新潮文庫 「牧草」「私」が受け取った「彼」からの手紙には、自らの手落ちで妻を死なせてしまった顛末が綴られていた。一年前に偶然出会い、話をしただけの「彼...
ついに「夢」は陽の光を見ることはないのです 「夢の逃亡」(安部公房)(「夢の逃亡」)新潮文庫 やむを得ぬことであったろう。彼の衣裳である名前は、この街との約束も、契約も、まだとりかわしてはいない。愛の行為でなんとか結びあ...
読み手の安易な理解を拒絶する 「啞むすめ」(安部公房)(「夢の逃亡」)新潮文庫 何事かに出遭うと、それはたちまちつむじ風となって彼の中をすっと吹き抜け、あとにぽっかり空洞が残された。それをせっせと埋めるしぐさが生活であっ...
すべては絶望の果ての幻想 「薄明の彷徨」(安部公房)(「夢の逃亡」)新潮文庫 「僕」がたどり着いたその部屋の中では、彫刻家の男が結婚通知を書いていた。男は自らが創り上げた粘土像と結婚するのだという。そしてそのために自らの...
安部公房の「虚構」世界の第一歩 「虚構」(安部公房)(「夢の逃亡」)新潮文庫 とうとう君に遭えた。そして遭っている。しかし僕たちはまだろくにあいさつもしていないようだ。むろん夫婦の間では、そんな形式なんかどうでもいいこと...
すべてを失うことでしか得られない「幸福」 「燃えつきた地図」(安部公房) 新潮文庫 コーヒー店「つばき」で暴行を受け、怪我をした「ぼく」は、依頼人・波瑠の部屋へ転がり込む。期限まで調査を継続すると約束する「ぼく」だったが...
緻密に計算され尽くした設計図のような構造 「燃えつきた地図」(安部公房) 新潮文庫 興信所職員の「ぼく」は、ある失踪者の捜索に着手する。行方不明となったのは依頼者の夫。しかし依頼者である妻から提示された手がかりはレインコ...
唯一の手がかりはリルケの「マルテの手記」にある 「名もなき夜のために」(安部公房)(「夢の逃亡」)新潮文庫 夜…消極的に、単に力を奪い去られたような疲労ではなくて、疲れというものが物質のように筋肉の隙間などに浸み込んで来...
真に恐れるべきはロボットではなく、人間 「R62号の発明」(安部公房)(「R62号の発明・鉛の卵」)新潮文庫 会社を馘になり、自殺しようとしていた機械技師「彼」は、生きたままロボットにされ、「R62号」と呼ばれる。「彼」...
解答のない難問を解こうとする感覚に似ている 「異端者の告発」(安部公房)(「夢の逃亡」)新潮文庫 「僕」は「僕」自身を告発するが、誰からも相手にされない。「僕」は自ら殺人を犯すことによって世間の注目を集め、裁判にかけられ...