不可思議なカタチをした生きものだらけです
「古生物たちのふしぎな世界」
(土屋健)講談社ブルーバックス
![](https://www.xn--u9jxf6af7c4b7e3b2kra6gh4851yok3b.club/wp-content/uploads/2019/06/2019.06.29-2.jpg)
古生代という時代は、
実にダイナミックであり、
ドラマチックです。
この時代には
生態系の覇権をめぐる
動物たちの栄枯盛衰が
とても激しく
繰り広げられていたからです。
恐竜に相当するような
圧倒的な強者が
存在しないのです。…。
地球史を古生物によって
「新生代」「中生代」「古生代」
「先カンブリア時代」の
4つに区分したものを
「地質時代」といいます。
本書は「古生代」に
進化発展した生物群を取り上げ、
古生代3億年の歴史を
紹介したものなのです。
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「先カンブリア時代」に
生息していた生物は
いわゆる微生物のみだったと
考えられています。
「古生代」は、
生物が肉眼で見える大きさまで
体を大きくし、
さまざまな形態に
進化と絶滅を繰り返した、
生物の外観デザインの
試行錯誤期ともいえる
興味深い時代なのです
(なお次の「中生代」は恐竜の時代です)。
【本書の章立て一覧】
はじめに
地質年代
プロローグ-前夜-
第1章 勃興
第2章 節足動物と軟体動物の支配
第3章 革命
第4章 祖先たちの王国
エピローグ
参考資料・索引
※くわしくはこちらから(講談社HP)
※YouTubeに
素敵なPR動画がありました。
![](https://www.xn--u9jxf6af7c4b7e3b2kra6gh4851yok3b.club/wp-content/uploads/2019/06/2019.06.29-2-b.jpg)
不可思議なカタチをした
生きものだらけです。
なんといっても
古生代の支配者アノマロカリス。
こんなにもいろいろな
バリエーションがあったとは。
五つ目でエイリアンのような
口を持ったオパビニア。
宇宙生物としてSFに登場させても
通用するようなマルレラ。
ページをめくって眺めるだけでも
十分に楽しめます。
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一応私も理科教師ですので、
最新の知見を得ることを目的に
読みました。
私の知らなかったことが、
やはりいろいろありました。
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新しい知見①
眼をもつことが進化を促した
「眼をもった動物が
あらわれた」ことにより、
加速度的に弱肉強食の連鎖が始まり、
さまざまな攻撃手段・防御段を
獲得したものが出現し、
多様性が高くなる。
光スイッチ説だそうです。
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新しい知見②
ハルキゲニアの完全復元図
これまでハルキゲニアという生物は、
その奇怪なカタチゆえ、
どちらが脚でどちらが棘なのか
判然としないという
旧来の説しか知らなかったのですが、
完全な復元図が掲載されていました。
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新しい知見③
ピカイアは人類の遠い祖先ではない
ピカイアというのっぺりした生物が
人類を含む脊椎動物の祖先であると
認識していましたが、
ミロクンミンギアや
ハイコウイクチスが発見され、
これこそが人類につながる
祖先であることが確定したそうです。
2つの古生物の発見は1999年。
知りませんでした。
![](https://www.xn--u9jxf6af7c4b7e3b2kra6gh4851yok3b.club/wp-content/uploads/2019/06/2019.06.29-2-g.jpg)
新しい知見④
哺乳類の祖先は爬虫類ではない
これまで何の疑問も持たずに
「爬虫類から哺乳類の仲間がうまれた」と
授業で説明してきました。
それはもはや古いのだとか。
爬虫類と哺乳類は直接繋がっていない。
これも知りませんでした。
勉強になりました。
科学は日々進歩しているのです。
これまでの古生代史の
概念を新たにする一冊です。
科学好きのあなたに、そして
科学の嫌いなあなたにもお薦めです。
(2019.6.29)
〔追記〕
〔土屋健氏の著作について〕
本書の著者・土屋健氏は
「リアルサイズ古生物図鑑」という
素敵な図鑑も著しています。
「古生代編」「中生代編」「新生代編」と
三部作です。
本書を「古生代編」と比較して読むと、
より立体的に古生物の世界を
捉えることができるはずです。
さらに、本書を
パワーアップしたような一冊も
登場しています。
(2022.9.25)
![](https://www.xn--u9jxf6af7c4b7e3b2kra6gh4851yok3b.club/wp-content/uploads/2019/06/2019.06.29-2-sunrise.jpg)
【講談社ブルーバックス】
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