キャラ化はここまで進んでいたのか!?
「ビーカーくんとそのなかまたち」
(うえたに夫婦)誠文堂新光社
![](https://www.xn--u9jxf6af7c4b7e3b2kra6gh4851yok3b.club/wp-content/uploads/2019/08/2019.08.08-2-1.jpg)
キャラ化はここまで進んでいたのか!?
先日、文豪をキャラ化した
「文豪図鑑」なるものを
取り上げましたが、
こちらは何と実験器具のキャラ化です。
それも超マニアック。
![](https://www.xn--u9jxf6af7c4b7e3b2kra6gh4851yok3b.club/wp-content/uploads/2019/08/2019.08.08-2-d.jpg)
ビーカーだけでも
コニカルビーカー、トールビーカー、
手付きビーカー、ステンレスビーカー、
ホーロービーカー、石英ガラスビーカー。
そこから始まり、
フラスコ、試験管、シャーレ、
メスシリンダー、ピペット、
ろうと等のガラス器具。
ピンセット、薬さじ、フタ、
栓、金網、三角架、温度計、
ルーペ等の小道具類。
電子天秤、顕微鏡、
電源装置、電流計、電圧計、
冷却器等の機具類。
さらには炎色反応、H2O分子模型など
もはや実験器具とはいえないものまで。
![](https://www.xn--u9jxf6af7c4b7e3b2kra6gh4851yok3b.club/wp-content/uploads/2019/08/2019.08.08-2-e.jpg)
私は理科教師で、
しかも化学専攻なのですが、
3つ口フラスコなんて
使ったことはないし、
ケルダールフラスコなんて
名前すら知りませんでした。
実験室にある器具はほとんど
網羅されているのではないかと
思わせる内容です。
それらが系統性を考えて
並べられています。
きわめて学術的な構成となっています。
そしてそれぞれが
キャラ化されたイラスト、
正式名称、得意技、キャラ特性、
そしてレーダーチャート
(何とマニアック!)で紹介されています。
![](https://www.xn--u9jxf6af7c4b7e3b2kra6gh4851yok3b.club/wp-content/uploads/2019/08/2019.08.08-2-f.jpg)
単なる図鑑ではなく、
そうした器具紹介の合間に
見開きでマンガによる用途説明まで
盛り込まれています。
科学への入り口の役割としても
機能するでしょう。
中には新品のビーカー類が、
実験室ではえてして
飲み会の食器代わりに使われている
裏話なども紹介されていて、
うんうん、そうだったよね、と、
理系大学出身者なら
頷いてしまうトリビアも盛りだくさん。
![](https://www.xn--u9jxf6af7c4b7e3b2kra6gh4851yok3b.club/wp-content/uploads/2019/08/2019.08.08-2-g.jpg)
加えてコラムも充実しています。
ビーカーの歴史、
パスツールとフラスコ、科学者たち、
洗浄用ブラシのあれこれ等、
知らないことばかり。
図鑑部分は水色地ページ、
マンガは白地ページ、
コラムは黄色地ページと
色分けされているので、
各情報へのアクセスも
極めてスムーズにできるように
工夫されているのも嬉しい限りです。
中学校で教えていると、
数学・理科に難しさを感じて
早々と「自分は文系」と
決めつけてしまう子どもたちが多く、
残念に思っています。
そんな子どもたちが本書を読んで、
科学に親しみを感じることができたら
素晴らしいと思います。
ぜひ、全国の中学校の図書室に
備えてほしい一冊です。
(2019.8.8)
![](https://www.xn--u9jxf6af7c4b7e3b2kra6gh4851yok3b.club/wp-content/uploads/2019/08/2019.08.08-2-beaker.png)