「ビーカーくんとそのなかまたち」(うえたに夫婦)

キャラ化はここまで進んでいたのか!?

「ビーカーくんとそのなかまたち」
(うえたに夫婦)誠文堂新光社

キャラ化はここまで進んでいたのか!?
先日、文豪をキャラ化した
「文豪図鑑」なるものを
取り上げましたが、
こちらは何と実験器具のキャラ化です。
それも超マニアック。

ビーカーだけでも
コニカルビーカー、トールビーカー、
手付きビーカー、ステンレスビーカー、
ホーロービーカー、石英ガラスビーカー。
そこから始まり、
フラスコ、試験管、シャーレ、
メスシリンダー、ピペット、
ろうと等のガラス器具。
ピンセット、薬さじ、フタ、
栓、金網、三角架、温度計、
ルーペ等の小道具類。
電子天秤、顕微鏡、
電源装置、電流計、電圧計、
冷却器等の機具類。
さらには炎色反応、H2O分子模型など
もはや実験器具とはいえないものまで。

私は理科教師で、
しかも化学専攻なのですが、
3つ口フラスコなんて
使ったことはないし、
ケルダールフラスコなんて
名前すら知りませんでした。
実験室にある器具はほとんど
網羅されているのではないかと
思わせる内容です。

それらが系統性を考えて
並べられています。
きわめて学術的な構成となっています。
そしてそれぞれが
キャラ化されたイラスト、
正式名称、得意技、キャラ特性、
そしてレーダーチャート
(何とマニアック!)で紹介されています。

単なる図鑑ではなく、
そうした器具紹介の合間に
見開きでマンガによる用途説明まで
盛り込まれています。
科学への入り口の役割としても
機能するでしょう。
中には新品のビーカー類が、
実験室ではえてして
飲み会の食器代わりに使われている
裏話なども紹介されていて、
うんうん、そうだったよね、と、
理系大学出身者なら
頷いてしまうトリビアも盛りだくさん。

加えてコラムも充実しています。
ビーカーの歴史、
パスツールとフラスコ、科学者たち、
洗浄用ブラシのあれこれ等、
知らないことばかり。

図鑑部分は水色地ページ、
マンガは白地ページ、
コラムは黄色地ページと
色分けされているので、
各情報へのアクセスも
極めてスムーズにできるように
工夫されているのも嬉しい限りです。

中学校で教えていると、
数学・理科に難しさを感じて
早々と「自分は文系」と
決めつけてしまう子どもたちが多く、
残念に思っています。
そんな子どもたちが本書を読んで、
科学に親しみを感じることができたら
素晴らしいと思います。
ぜひ、全国の中学校の図書室に
備えてほしい一冊です。

(2019.8.8)

OpenClipart-VectorsによるPixabayからの画像

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