「胡桃林」(井上靖)
子どもに夢を託すしかなかったちか女の半生 「胡桃林」(井上靖) (「姨捨」)新潮文庫 「私」は十二、三歳の頃に 磯川ちか女と知り合う。 ちか女は若くして 未亡人となったものの、 投機的資質と大胆な性格から 資産を増やし、...
子どもに夢を託すしかなかったちか女の半生 「胡桃林」(井上靖) (「姨捨」)新潮文庫 「私」は十二、三歳の頃に 磯川ちか女と知り合う。 ちか女は若くして 未亡人となったものの、 投機的資質と大胆な性格から 資産を増やし、...
報われなかった二つの愛情の邂逅 「玉碗記」(井上靖) (「百年文庫010 季」)ポプラ社 安閑天皇陵から出土した 「玉碗」を見に来いという連絡を、 旧友の桑島から受けた「私」。 考古学には興味はなかったが、 安閑天皇の名...
私たちは中東を色眼鏡で見るようになってきていた 「中東から世界が見える」(酒井啓子) 岩波ジュニア新書 「中東=危ない地域」という先入観が、 私たち日本人には 染み込んでいるのではないでしょうか。 「現在でも各地で紛争...
子どもたちがまず知っておくべき国は韓国 「ソウルで学ぼう」(水野俊平) 岩波ジュニア新書 近くて遠い国・韓国。 子どもたちがまず知っておくべき国は、 アメリカでもヨーロッパでもなく、 韓国だと私は思います。 遺伝子的に...
新しい出発として「離婚」を前向きに捉えた作品 「ウホッホ探検隊」(干刈あがた) 河出文庫 君はネクタイの結び方を 教えてもらうために、 父親の仕事場へ行ったのだ。 君はそれを 覚えて帰らなければならない。 卒業式の朝は...
「ホーム」とは「帰るべき場所」。 「ウェルカム・ホーム!」(鷺沢萠) 新潮文庫 「ぼくの家には、 お父さんがふたりいる」。 そう書きだした 小学校6年生の憲弘の作文を見て、毅は絶句する。 確かにわが家は憲弘と父親の英弘...
対立軸がぶれ、その境界すら曖昧になる国・日本 「煙草と悪魔」(芥川龍之介) (「芥川龍之介全集1」)ちくま文庫 渡来した宣教師たちに混じって、 悪魔も日本にやってきた。 しかし切支丹がいなければ 誘惑もできず、 悪魔は仕...
三忠臣VS坊主宗俊の心理合戦 「煙管」(芥川龍之介) (「芥川龍之介全集1」)ちくま文庫 加賀藩主前田斉広のお気に入りは 金無垢の煙管。 ある日、城の坊主宗俊が その煙管の拝領を願い出る。 快く手放す斉広。 しかし忠臣た...
どんな形であれ、感動がないはずがありません 「ある結婚式」(獅子文六) (「百年文庫003 畳」)ポプラ社 ずっと媒酌人を 断り続けてきた「私」は、 ある知人からの依頼だけは 断り切れずに引き受けてしまう。 結婚する当人...
クラシックからモダンへの変遷の滑稽さ 「ライスカレー」(獅子文六) (「ロボッチイヌ」)ちくま文庫 コック見習いのフー公は、 客の若旦那が気に入らない。 女給のおキミちゃんに いつも色目を使うからだ。 フー公はおキミちゃ...