復刊!横溝正史 2022

横溝正史没後40年&生誕120年を振り返る

復刊!横溝正史 2022

ホテル女王
あのとき犯人がもっと用心深く
ドアを締めていったら、
葉山チカ子と名乗るあの女も
あのまま絶命
していたのではないか……と、
後日そのときのことを
思い出すたびに、
山田三吉は身震いをせずには
いられなかった。…。
「夜の黒豹」冒頭)

今年2022年は
横溝正史没後40年&生誕120年の
記念すべき一年でした。
出版社の動きは昨年末までに
概ね完了していて、
昨年2021年は柏書房の
「横溝正史少年小説コレクション」
全7巻が白眉でした。
その柏書房は今年も
横溝正史の誕生日に合わせて
「横溝正史エッセイコレクション」
全3巻を刊行しています。
また、論創社から年末ギリギリに
横溝の翻訳作品として
A.A.ミルンの「赤屋敷殺人事件」を
復活させてくれています。
しかし今年の目玉は何といっても
角川文庫の大量復刊
(2021年8月~2022年12月)でしょう。

第1弾(5冊)
「夜の黒豹」
(2021年8月)
「魔女の暦」
(2021年9月)
「迷路の花嫁」
(2021年10月)
「スペードの女王」
(2021年11月)
「扉の影の女」
(2021年12月)

復刊第1弾

昨年夏に「夜の黒豹」
復刊のニュースが流れたときは
あまり期待はしていませんでした。
かつて単発で「不死蝶」が
復刊したものの、
その後はTVドラマ放映の関係で
由利麟太郎シリーズ4冊が
復刊しただけで、
角川文庫の動きはずっと
停滞していたからです。
しかしながら5ヶ月連続復刊。
「もしや来年2022年こそ大量復刊か!」と
希望を繋ぐことができました。

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第2弾(5冊)(2021年12月)
「八つ墓村」
「本陣殺人事件」
「獄門島」
「悪魔が来りて笛を吹く」
「悪魔の手毬唄」

※以上、期間限定杉本一文装幀カバー

第2弾

特別編(2冊)(2021年12月)
「女王蜂」
(ジュンク堂限定復刻カバー)
「夜歩く」
(TSUTAYA限定復刻カバー)

特別編

ところが2021年の暮れ、
第2弾として発表されたのは
復刊ではなく「期間限定カバー」。
期間限定ではなく、
第1弾の復刊と合わせて
これまでの漢字一文字装幀をもともとの
杉本一文装幀に切り替えればいいのに
「期間限定」。
これを読者に対するサービスと
考えているのであれば大問題です。
消費者の気持ちをまったく
わかっていないといっていいでしょう。
しかも2冊は特定の書店限定という
およそ出版社にあるまじき販売方法。
第1弾での希望は
第2弾で失望へと変わりました。

第3弾(6冊)
「びっくり箱殺人事件」
「支那扇の女」
(以上2022年1月)
「貸しボート十三号」
「死神の矢」
(以上2022年2月)
「壺中美人」
「華やかな野獣」
(以上2022年3月)

復刊第3弾

第4弾(5冊)
「毒の矢」
「吸血蛾」
(以上2022年4月)
「死仮面」
「幽霊座」
(以上2022年5月)
「金田一耕助の冒険」
(2022年6月)

復刊第4弾

ところが年が明けて、
無事復刊が続き安心しました。
6月までで計11冊。
そしてこれで金田一耕助シリーズ
すべて復刊したことになるのです。
ただ非常に残念だったのは
「死仮面」です。
昭和の時代に刊行された段階では、
原稿の1回分が欠落、
中島河太郎代筆分が
掲載されていました。
「見つかり次第差し替える」と
解説には書かれてあったのですが、
それを挿入した「完全版」を
出版したのは春陽堂文庫でした。
今回の復刊で「もしや」と
期待したのですが、
見事に裏切られました。
なお、「金田一耕助の冒険」が
杉本一文装幀で復刊したのは
幸いでした。

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第5弾(12冊)
「黄金の指紋」
「迷宮の扉」
(以上2022年7月)
「大迷宮」
「仮面城」
(以上2022年8月)
「金色の魔術師」
「蝋面博士」
(以上2022年9月)
「夜光怪人」
「青髪鬼」
(以上2022年10月)
「怪獣男爵」
「真珠塔・獣人魔島」
(以上2022年11月)
「まぼろしの怪人」
「幽霊鉄仮面」
(以上2022年12月)

復刊第5弾

昨年の柏書房のシリーズ好評が
影響したのでしょうか、
7月からは月2冊のペースで
ジュヴナイルも復刊されました。
私は昭和時代に刊行されたものを
すべて持っているのですが、
復刊カバーの色艶の美しさに惹かれて、
やはりすべて購入してしまいました。
ここでも本来「面博士」であったのを
面博士」へと変更してしまったのが
残念です。
横溝は意図的に「蠟」の字を
使用していた形跡があるのですから、
タイトルのこのような形での変更は
好ましくないはずです。

残念な面が多々見られるため、
ため息もこぼれてしまうのですが、
それでも計28冊が
復刊となったのですから
喜ばないわけにはいきません。
来年度以降、まだ絶版中の文庫本
(まだ20数冊ある!)の復刊と、
現行の漢字一文字装幀の撤廃
(杉本装幀カバーの常態化)を
強く希望する次第です。
来年こそその願いが叶いますように…。

(2022.12.30)

Antonios NtoumasによるPixabayからの画像
おどろおどろしい世界への入り口

〔追記〕
年の瀬ということもあり、
この1週間は娯楽に徹し、
古き良き日本のミステリで
固めてしまいました。
純文学も素晴らしいし
ミステリも面白い、
新書本も素敵、
子ども向けの本も楽しいかぎりです。
今年一年も良い本との出会いを
十分に果たすことができました。
早いもので2022年も明日で終わりです。
それでは皆様、
よいお年をお迎えください。

(2022.12.30)

Ulrike MaiによるPixabayからの画像

【今日のお知らせ2022.12.31】
以下の記事をリニューアルしました。

【今日のお知らせ2023.1.1】
新年あけましておめでとうございます。
以下の記事をリニューアルしました。

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