「第四間氷期」(安部公房)②
常識の範囲内では受け入れ不可能の未来の到来 「第四間氷期」(安部公房)新潮文庫 先生は、未来というものを、日常の連続としてしか想像できなかった。断絶した未来…この現実を否定し、破壊してしまうかもしれないような、飛躍した未...
常識の範囲内では受け入れ不可能の未来の到来 「第四間氷期」(安部公房)新潮文庫 先生は、未来というものを、日常の連続としてしか想像できなかった。断絶した未来…この現実を否定し、破壊してしまうかもしれないような、飛躍した未...
ノーベル賞の先の先を行く安部公房。 「第四間氷期」(安部公房)新潮文庫 未来を予言できる電子計算機「予言機械」を開発した「私」は、その実験としてある中年男の未来を予言させようと、男の調査に取りかかる。しかし男は情婦の部屋...
人形佐七捕物帳055 季節感満載、「雪」が巧妙に使われています 「雪達磨の怪」(横溝正史)(「完本 人形佐七捕物帳三」) 春陽堂書店 辰と豆六の目の前で、鳥越の親分・茂平次にしょっ引かれた紋次。娘を殺して金を奪ったのだと...
すべてが緻密な設計図のもとに 「獄門島」(横溝正史)角川文庫 月代・雪枝・花子の鬼頭家の三人娘のうち、二人までが殺害された。花子は梅の木に逆さづりにされ、雪枝は釣り鐘の下に伏せられ、その遺体は謎めいた晒され方をしていた。...
2023年の頃は本当はもう… 「トンネル」(デュレンマット/増本浩子訳)(「失脚/巫女の死」) 光文社古典新訳文庫 「二十四歳の男」は、いつもの列車に乗り込んだ。しかし列車がいつものように入ったトンネルが、いつもと比べて...
犯した場合には生命をもって償わなければならない 「百年文庫020 掟」(ポプラ社) 「爪王 戸川幸夫」鷹匠は若鷹に「吹雪」と名附けた。命名は野生との訣別を意味する。鷹匠の家族の一員としての再出発であった。忍従の歳月だった...
外国人ではなく、私たち日本人に必要なこととして 「やさしい日本語―多文化共生社会へ」(庵功雄)岩波新書 「日本語」という道具を習得しない限り、日本の小中高で教えられている内容を身につけることはできません。しかも、この相対...
人の世に対する作者の悲しい視線 「不思議な少年」(トウェイン/中野好夫訳)岩波文庫 セピ、ニコラウス、そして「わたし」の三人が出会った美少年は、果物や菓子、パンや飴など、欲しいものを次から次へと目の前に出してくれた。彼は...
人形佐七捕物帳060 正月早々、暗号謎解きと殺人事件 「小倉百人一首」(横溝正史)(「完本 人形佐七捕物帳四」) 春陽堂書店 佐七へ相談に来たのは人気役者・嵐菊之助。先日亡くなった狂言作者・並木一草に強請られていたのだと...
本作品の出版経緯自体が、主人公の生き方に重なる 「雪割草」(横溝正史)角川文庫 吃音のある、大きな声だった。くちゃくちゃになったお釜帽の下からはみ出している、長い、もじゃもじゃとした蓬髪、短い釣鐘マントの下から覗いている...