「百年文庫070 野」
「野」に出る人は、孤高な魂の持ち主 「百年文庫070 野」ポプラ社 「ベージンの野 トゥルゲーネフ」夏の夜の道に迷った「私」は、ベージンの野と呼ばれる草原へ出てしまう。そこでは土地の子どもたち五人が朝まで馬番をしていた。...
「野」に出る人は、孤高な魂の持ち主 「百年文庫070 野」ポプラ社 「ベージンの野 トゥルゲーネフ」夏の夜の道に迷った「私」は、ベージンの野と呼ばれる草原へ出てしまう。そこでは土地の子どもたち五人が朝まで馬番をしていた。...
SDGsという言葉が人口に膾炙した今こそぜひ 「地球持続学のすすめ」(武内和彦) 岩波ジュニア新書 地球持続学は、これからの時代を生きるきみたちにとっては、自分たちの世代の生存に関わる大問題である。言い換えると、地球持続...
本書は若松賤子の児童文学への情熱の結晶 「小公子」(バーネット/若松賤子訳) 岩波文庫 セドリックには、誰も云うて聞かせる人が有りませんかッたから、何も知らないでゐたのでした。おとッさんは、イギリス人だッたと云ふこと丈は...
双子タップダンサー探偵・夏彦&冬彦 「双生児は囁く」(横溝正史)(「双生児は囁く」)角川文庫 双子のタップダンサー・星野夏彦・冬彦の目の前で、世界に二つとない真珠の首飾り「人魚の涙」が盗まれる。盗んだのは腕にハートのクイ...
全11篇、金田一耕助の事件の見本市 「金田一耕助の冒険」(横溝正史) 角川文庫 「霧の中の女」霧の夜、宝飾店で女が店員を刺し殺し、宝石を奪うという事件が起きた。犯人が見つからないまま第二の事件が起きる。連れ込み宿で男が殺...
第二の転換点、内省の時代に入った日本文学 「日本文学100年の名作第8巻 薄情くじら」新潮文庫 「薄情くじら 田辺聖子」「やっぱり、ケチだからよ、お父さん」木津は家族の者にこのところ、頓に、「ケチ親爺になった…」...
誠実であり、寛大であり、孤高である 「星を覗く人」(ハイゼ/関泰祐訳)(「片意地娘 他三篇」)岩波文庫 訪ねてきたヅァネットが、父によって追い返されたことを知り、ベピーナは悲嘆に暮れる。十六になるまで深窓に育った彼女にと...
ファンタジー、それも異世界迷い込み 「30センチの冒険」(三崎亜記) 文春文庫 ユーリが迷い込んだ世界は、距離の概念を失い、人々が自由に行き来のできない街だった。街はまもなく「鼓笛隊」の襲撃により、壊滅の危機を迎えるのだ...
研究熱心な横溝の創作姿勢が読み取れます 「1926年執筆の評論・随筆等」(横溝正史)(「横溝正史探偵小説選Ⅰ」)論創社 今年の四月であったと思う。私は月島橋の乗換場所に電車を待っていたのである。四十ぐらいの、猟師のように...