「日本文学100年の名作第10巻 バタフライ和文タイプ事務所」

日本文学は、多様なジャンルに分化し、発展し続けている 「日本文学100年の名作第10巻 バタフライ和文タイプ事務所」 新潮文庫 「バタフライ和文タイプ事務所          小川洋子」「私」の勤めるバタフライ和文タイプ...

「日本文学100年の名作第9巻 アイロンのある風景」

世紀末から21世紀への転換点、進化する日本文学 「日本文学100年の名作第9巻   アイロンのある風景」新潮文庫 「アイロンのある風景 村上春樹」二月の深夜、三宅から焚き火に誘われた順子は、恋人・啓介とともに海岸へ向かう...

「日本文学100年の名作第8巻 薄情くじら」

第二の転換点、内省の時代に入った日本文学 「日本文学100年の名作第8巻     薄情くじら」新潮文庫 「薄情くじら 田辺聖子」「やっぱり、ケチだからよ、お父さん」木津は家族の者にこのところ、頓に、「ケチ親爺になった…」...

「日本文学100年の名作第7巻 公然の秘密」

自分が知っている昭和の姿がそこかしこに現れている 「日本文学100年の名作第7巻    公然の秘密」新潮文庫 「鮒」(向田邦子)勝手口に置かれていたバケツには、一匹の鮒が入っていた。体長15センチほどのそれには、確かに見...

「日本文学100年の名作第6巻 ベトナム姐ちゃん」

高度文学成長、色彩を取り戻した日本文学 「日本文学100年の名作第6巻    ベトナム姐ちゃん」新潮文庫 「ベトナム姐ちゃん」(野坂昭如)横須賀のドブ板通りのバーのホステス・弥栄子は、いつもベトナム帰りのアメリカ兵に対し...

「日本文学100年の名作第5巻 百万円煎餅」

高度経済成長期は日本の文学復興をも呼び込んだ 「日本文学100年の名作   第5巻 百万円煎餅」新潮文庫 「毛澤西」(邱永漢)1950年代の香港。フェリー・ボートから降りる客相手の新聞売りたちの多くは無許可営業であり、取...

「日本文学100年の名作第2巻 幸福の持参者」

百花繚乱の相を呈していた、大正期の日本文学 「日本文学100年の名作   第2巻 幸福の持参者」新潮文庫 「島守 中勘助」明治四十四年九月二十三日、ひどい吹きぶりのなかを島へわたった。これから「私」の住居となる家は、ほん...

「日本文学100年の名作第4巻 木の都」

たくましくも戦争と向き合ってきた日本文学 「日本文学100年の名作第4巻 木の都」 新潮文庫 「木の都 織田作之助」十年ぶりに大阪の町を訪れた「私」。何気なく入ったレコード店の店主の顔は、どこかで見た記憶があった。降り出...

「日本文学100年の名作第3巻 三月の第四日曜」

暗い時代に多様性を失わなかった日本文学 「日本文学100年の名作第3巻     三月の第四日曜」新潮文庫 「猫町 萩原朔太郎」詩人の「私」は、散歩の途中で方角が分からなくなり、近所の町でさえ見知らぬ場所に感じる経験を度々...