「春は馬車に乗って」(横光利一)②
作者自身の体験をもとにして書かれた本作品 「春は馬車に乗って」(横光利一) (「機械・春は馬車に乗って」)新潮文庫 「彼」は医者から 妻の命が長くはないことを 告げられる。妻は夫が 泣いていたことに気付き、 だまって天井...
作者自身の体験をもとにして書かれた本作品 「春は馬車に乗って」(横光利一) (「機械・春は馬車に乗って」)新潮文庫 「彼」は医者から 妻の命が長くはないことを 告げられる。妻は夫が 泣いていたことに気付き、 だまって天井...
描かれている「水」が夫婦の心の動きを表している 「春は馬車に乗って」(横光利一) (「百年文庫069 水」)ポプラ社 肺病で臥せっている妻と 夫である「彼」の会話は 刺々しくなることが 多くなった。 彼女は病の焦燥から、...
芭蕉は決して閑人ではありません。 「おくのほそ道」 (松尾芭蕉/角川書店編)角川文庫 「古池や蛙飛びこむ水の音」。 古い池に 蛙が飛び込む音が聞こえてきた、 という単純な情景を さも新発見のように句に詠むなんて、 よほど...
「愛」と「権力」の狭間に立たされた帝の苦悩 「源氏物語 桐壺」(紫式部) (阿部秋生校訂)小学館 帝の寵愛を独り占めしていた桐壺の更衣はそれゆえに周囲の女御たちの反感を買い、さまざまな嫌がらせを受ける。やがて更衣は美しい...
ここから乱歩の危ない世界に入門してください 「江戸川乱歩傑作選」(江戸川乱歩) 新潮文庫 ある日、 「私」の机上の二銭銅貨が2つに割れ、 中に暗号文が隠されていることを 見つけた松村。 それを解読した松村は、 泥棒の隠...
面白いのは本文に続く「自作解説」です 「覆面の舞踏者」(江戸川乱歩)(「江戸川乱歩全集第3巻 陰獣」) 光文社文庫 同僚・井上に誘われて入会した秘密結社・二十日会。次の催しは、仮面舞踏会。会員はみなそれぞれがわからぬよう...
「孤独」を表す「桜色」が全編にちりばめられている 「桜の森の満開の下」(坂口安吾) (絵:しきみ)立東舎 昨年末相次いで発刊された 「乙女の本棚」の坂口安吾の2篇。 すでに「夜長姫と耳男」は 取り上げています。 今回は「...
全編が狂気に満ちあふれているのです 「桜の森の満開の下」(坂口安吾) (「桜の森の満開の下・白痴 他十二篇」) 岩波文庫 鈴鹿峠に住み着いた山賊の男は 怖いもの知らずだったが、 桜の森の下だけには 恐怖を感じていた。 ...
実はゴーゴリのユーモラスに辿り着く 「外套」(ゴーゴリ/浦雅春訳) (「鼻/外套/査察官」) 光文社古典新訳文庫 ぼろぼろの外套を羽織って 出勤するしがない貧乏役人の アカーキエヴィチは、 外の寒さが厳しくなった ある...
ニセ査察官とニセ黄門様 「査察官」(ゴーゴリ/浦雅春訳) (「鼻/外套/査察官」) 光文社古典新訳文庫 とあるロシアの田舎町。 中央政府の査察官の 来訪情報が流れ、 市長一派は不安を隠せない。 かねてからの不正が 露見...