「盗難」(江戸川乱歩)
本作品のニセ巡査は怪人二十面相のプロトタイプ 「盗難」(江戸川乱歩)(「江戸川乱歩全集第1巻」)光文社文庫 ある地方の教会に「今夜十二時に寄付金をいただく」という犯行予告の手紙が舞い込む。通りがかった巡査とともに金庫を見...
本作品のニセ巡査は怪人二十面相のプロトタイプ 「盗難」(江戸川乱歩)(「江戸川乱歩全集第1巻」)光文社文庫 ある地方の教会に「今夜十二時に寄付金をいただく」という犯行予告の手紙が舞い込む。通りがかった巡査とともに金庫を見...
さすがに今となっては噴飯ものです 「宇宙怪人」(江戸川乱歩)ポプラ社 アメリカで目撃された空飛ぶ円盤は、やがて日本へも飛来する。円盤の中からはトカゲとコウモリの合いの子のような宇宙怪人が現れ、人々を恐怖に陥れる。そして宇...
読みどころは源氏の教育観 「源氏物語 少女」(紫式部)(阿部秋生校訂)小学館 源氏の子・夕霧は十二歳で元服する。厳格な教育方針の下、源氏は夕霧を四位にする特典を捨て、六位という低い身分のまま大学に入学させる。花散里のもと...
秘密基地は男の夢です 「ぼくらのバス」(大島真寿美) ピュアフル文庫 小学5年生の圭太は弟の広太を誘って「バスの図書館」へ行く。管理人のおじいさんが亡くなって以来、使われずにいたバスの図書館。二人はこっそり忍び込み、秘密...
これはもはや「聖書」というより「性書」 「絵画で読む聖書」(中丸明) 新潮文庫 宗教と美術に関わる難しい内容の本かと思いきや、最初の数ページをめくって、あまりの面白さに、ついつい引き込まれるように読んでしまいました。内容...
この教育の時代に戻らなくてはいけない 「戦争の時代の子どもたち」(吉村文成)岩波ジュニア新書 前回、本書について、「こうした教育の時代に後戻りしてはいけないという気持ちを強く持った」という所感を書きました。それは本書の前...
あの教育の時代に戻ってはいけない 「戦争の時代の子どもたち」(吉村文成)岩波ジュニア新書 本書は単なる戦時中の生活の様子を説明したものではありません。国民学校における当時の5年生が、毎日の生活を絵日記として表したものをも...
純粋で眩い光を放っている少女つぐみ 「TUGUMI」(吉本ばなな)中公文庫 大学生となったまりあは夏休み、それまで暮らしていた故郷の町へと帰る。そこには従妹のつぐみがいた。つぐみは病弱だったため甘やかされて育ち、意地悪で...
村上訳の復刊を強く願う 「イリュージョン」(R.バック/村上龍訳)集英社文庫 群衆がドン・リチャード・ディックの三人を取り囲む。人々の投げる卵や石は決して彼らには当たらない。恐怖に駆られ、この町を脱出しようというディック...
「自由に生きる」こと 「イリュージョン」(R.バック/佐宗鈴夫訳)集英社文庫 遊覧飛行をしながら各地を転々としているリチャードは、風変わりな同業者・ドンと出会う。彼の複葉機は虫の死骸も付着していなければ、油の汚れもなく、...