やはり子どもには薦められない
「瓶詰地獄」
(原作:夢野久作 漫画:丸尾末広)
エンターブレイン

拝呈 時下益々御清栄、奉慶賀候。
陳者、予てより御通達の、
潮流研究用と覚しき、
赤封蝋附きの麦酒瓶、
拾得次第届告仕る様、
島民一般に申渡置候処、
此程、本島南岸に、
別小包の如き、
樹脂封蝋附きの麦酒瓶が三個
漂着致し居るを発見、届出申候。
右は何れも約半里、乃至、
一里余を隔てたる個所に、
或は…。
先日から取り上げている
夢野久作の問題作「瓶詰地獄」を
検索していて、
またしてもとんでもない一冊を
見つけてしまいました。
本書は漫画です。
前回の挿絵イラストとは異なり、
筋書きそのものを
ズバリ表現しています。
したがって
妖艶かつ耽美的かつ
エログロな世界です。
じっと眺めていると…、
吐き気が込み上げてきます。

しかも
この丸尾末広なる作家の画風が、
妖しさに輪をかけています。
幻想的でありながらも繊細で緻密。
不思議なリアルさを持ちながらも
極めて頽廃的。
デカダンの匂いがぷんぷんしてきます。
じっくり読み込むと…、
吐き気が込み上げてきます。

さらに小説のシチュエーションが
南海孤島での漂流生活ですから、
描かれている兄妹はほとんど裸体。
海中の背景には
タコやらクラゲやらが彩りを添え、
まるで北斎漫画の世界です。
ずっと見つめていると…、
吐き気が込み上げてきます。
Amazonで
中古本を手に入れたのですが、
想像を絶する世界に、
呆然としてしまいました。
こんな本を買ったことが
もし女房にばれたりしたら
エラいことになる。
いかん、さっそく処分すべし!…、
そう思いながらも、
なぜか引きつけられてしまうのです。
吐き気が込み上げてくるのですが。
これもやはり原作の
強烈な魔力のなせる業でしょう。
夢野久作の非日常的な文学世界は、
同じ匂いを持つ
アブノーマルな才能を
引きつけてしまうのかもしれません。
夢野久作、恐るべし。
さて、本作品の最終頁には、
古くから指摘されている
原作の矛盾点について記されています。
兄妹の手紙が封入された
三本の麦酒瓶は、
三つ同時に発見されたと
記されています。
それなのに三通目の手紙には
「救いの船が来た」と
書かれてあります。
救助船が到着するためには、
一通目の手紙が
先に到着しなければ
ならないはずである、
というものです。
漫画家・丸尾は
一つの解決策を提案しています。
「これが作者の
夢のキュウサクらしい
瑕瑾であるのか…
それとも兄妹が見た船は
幻影であったのか」。
いずれにしても、
やはり子どもには
薦められない作品です。
大人が人知れずこっそり
愛好すべき作品といえます。
※この漫画は、
マニアックな愛好家以外には
絶対に薦められない一冊です。
でも、いくつもの作品を
出版しているからには、
相当コアなファンが
いることなのでしょう。
この丸尾末広も
夢野久作と通じるものがあります。
(2018.12.8)

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