「源氏物語 紅梅」(紫式部)
空白の八年間の登場人物たちの変遷 「源氏物語 紅梅」(紫式部)(阿部秋生校訂)小学館 柏木の弟の按察の大納言は、先妻を亡くし、今は真木柱(鬚黒の長女)と再婚している。先妻との間に二人と真木柱の連れ子一人の、三人の姫君を抱...
空白の八年間の登場人物たちの変遷 「源氏物語 紅梅」(紫式部)(阿部秋生校訂)小学館 柏木の弟の按察の大納言は、先妻を亡くし、今は真木柱(鬚黒の長女)と再婚している。先妻との間に二人と真木柱の連れ子一人の、三人の姫君を抱...
陰と陽の二人の主人公、薫と匂宮 「源氏物語 匂兵部卿」(紫式部)(阿部秋生校訂)小学館 源氏の没後、その後継者は匂宮と薫だろうと評判されていた。匂宮は今上帝と明石中宮の第三皇子、薫は表向き源氏の次男ということになっている...
対極にある光が見えないほどの暗黒の闇 「百年文庫007 闇」ポプラ社 「進歩の前哨基地 コンラッド」アフリカに送り込まれた貿易会社の社員・カイヤールとカルリエ。二人は文明から隔離された未開の地での仕事を開始する。それなり...
心を覆っている雲をかき消すような出会い 「大洗の月」(井上靖)(「姨捨」)新潮文庫 月を見ようという気になり大洗まできた佐川は、古道具屋の飾窓の中に、かつて父とともに訪ねたことのある日本画家の坂本紫水の落款を持つ画を見つ...
泣かせる小説、それが大衆文学です。 「遊女夕霧」(川口松太郎)(「人情馬鹿物語」)講談社大衆文学館 円玉の家に出入りしていた呉服屋の手代・与之助が警察に捕まった。客から前金で受け取っていた代金を、遊女に貢いでいたのだ。円...
よく知っている中島とは違う、驚きの作風 「夫婦」(中島敦)(「日本文学100年の名作第3巻」) 新潮文庫 「夫婦」(中島敦)(「中島敦全集2」)ちくま文庫 コシサンの妻エビルはすこぶる多情で、部落の男といつも浮き名を流し...
精神世界についていくことができなくなっている 「デミアン」(ヘッセ/高橋健二訳) 新潮文庫 些細な理由で悪童クローマーに脅され苦しむ「私」(シンクレール)は、ある日、町にやって来た少年デミアンに救われる。デミアンは明と暗...
旧版新版で表題と表紙の異なる作品集 「花園の悪魔(作品集)」「首(作品集)」(横溝正史)角川文庫 東京近郊のS温泉に併設の花園で発見された一糸纏わぬモデル・アケミの絞殺死体。現場の遺留品から、犯人はアケミと交際のあった青...
金田一耕助の事件簿031 事件が金田一を呼ぶのか、金田一が事件を呼び込むのか 「首」(横溝正史)(「首」)角川文庫 「首」(横溝正史)(「花園の悪魔」)角川文庫 「獄門岩」と「首なしの淵」。三百年前、村の実力者が殺害され...
「あえて描かないことによって雄弁に物語る」 「源氏物語 雲隠」(紫式部) 愛した女性たちをはじめとする俗世の思いにすべて決着をつけ、源氏は仏門に入る。最愛の妻・紫の上、許されぬ愛に落ちた藤壺、不思議な運命で結ばれた明石の...