「アンボス・ムンドス」(桐野夏生)
桐野夏生の毒は強烈です。 「アンボス・ムンドス」(桐野夏生)(「日本文学100年の名作第10巻」) 新潮文庫 「私」の受け持つ五年生の女の子が五人、夏休みに山へ遊びに行き、その中の一人が崖から転落して死亡した。そのとき「...
桐野夏生の毒は強烈です。 「アンボス・ムンドス」(桐野夏生)(「日本文学100年の名作第10巻」) 新潮文庫 「私」の受け持つ五年生の女の子が五人、夏休みに山へ遊びに行き、その中の一人が崖から転落して死亡した。そのとき「...
「運命は決して人を見捨てない」というメッセージ 「献立表の春」(O.ヘンリー/芹澤恵訳)(「1ドルの価値/賢者の贈り物 他21編」) 光文社古典新訳文庫 「春はアラカルト」(O.ヘンリー/小川高義訳)(「O.ヘンリー傑作...
「余裕」こそが幸せなのだろうと思います 「二閑人交游図」(上林暁)(「百年文庫012 釣」)ポプラ社 ドイツ文学者の「滝沢氏」と私小説作家の「小早川君」は、それぞれ家族を抱えながら仕事に精を出していた。その一方で、生活に...
暗い時代に多様性を失わなかった日本文学 「日本文学100年の名作第3巻 三月の第四日曜」新潮文庫 「猫町 萩原朔太郎」詩人の「私」は、散歩の途中で方角が分からなくなり、近所の町でさえ見知らぬ場所に感じる経験を度々...
歴史小説が好きな人は読んではいけません 「榎本武揚」(安部公房)中公文庫 自らの過去を箱館戦争の指揮官・榎本武揚と照らし合わせることによって、自分の生き方の正当性を証明しようとする元憲兵・福地。彼が見つけ出した文献「顛末...
何を言いたいのか、いまだによくわかりません 「野呂松人形」(芥川龍之介)(「芥川龍之介全集1」)ちくま文庫 友人に誘われ、野呂松人形を観に行った「僕」。野呂松人形とは、江戸から伝わる人形芝居であり、美しいとはいえない人形...
人生を肯定的に捉え直すことのできる一冊 「誰にも書ける一冊の本」(荻原浩) 光文社文庫 母が「私」に手渡したのは、父が遺した原稿用紙の束。そこには「私」の知らない父の姿が記されてあった。文学に興味など示さなかった父がなぜ...
絶妙なエロス、または上品な言葉遊び 「バタフライ和文タイプ事務所」(小川洋子)(「海」)新潮文庫(「日本文学100年の名作第10巻」) 新潮文庫 「私」の勤めるバタフライ和文タイプ事務所。そこには近くの大学医学部から多く...
僅かに不純物が混じっていた方が 「幻の混合酒」(O.ヘンリー/芹澤恵訳)(「1ドルの価値/賢者の贈り物 他21編」) 光文社古典新訳文庫 ケニーリーの店の奥の部屋を借りているライリーとマッカーク。二人はかつて偶然にも創り...
昔、確かに「いい時代」があったのです 「あんちゃん、おやすみ」(佐伯一麦) 新潮文庫 裏庭に、少年は自分だけの花壇を作った。少年の庭は一風変わっている。チューリップやパンジーなどの花は植えない。少年が一生懸命路地裏から移...