「その花を見るな!」(光瀬龍)
自らの心を小学生にリセットし、味わうべき作品 「その花を見るな!」(光瀬龍) 秋元文庫 鉄、依、二郎の三人は、自分たちが別の世界へ迷い込んでしまったことに気づく。その異世界から脱出を試みる三人だったが、謎の男たちから追わ...
自らの心を小学生にリセットし、味わうべき作品 「その花を見るな!」(光瀬龍) 秋元文庫 鉄、依、二郎の三人は、自分たちが別の世界へ迷い込んでしまったことに気づく。その異世界から脱出を試みる三人だったが、謎の男たちから追わ...
「食べることのできない料理」を扱う「人を食った小説」 「二ノ橋 柳亭」(神吉拓郎)(「二ノ橋 柳亭」)光文社文庫 「二ノ橋 柳亭」(神吉拓郎)(「日本文学100年の名作第7巻」) 新潮文庫 編集者・村上が関わった随筆「二...
フィトンチッドのような一冊、読書による森林浴 「百年文庫018 森」ポプラ社 「ロイド老嬢 モンゴメリー」老嬢ロイドは、村にやってきた音楽教師グレーに心を奪われる。グレーは、老嬢がかつて愛した男性の娘だったからだ。彼女に...
見る度に宇宙への思いが膨らむ、そんな一冊 「カラー版 続ハッブル望遠鏡が見た宇宙」(野本陽代)岩波新書 ため息をつきたくなるほど美しいヘリテッジ・シリーズの写真。遠くの宇宙でくりひろげられる銀河の衝突。新しい星が生まれて...
他人からいいようにやられている残念な二人 「ボロ家の春秋」(梅崎春生)(「ボロ家の春秋」)中公文庫 「僕」は野呂という男と同居しているが、世間一般でいうところの「同居」とは大きく違う。そもそも住んでいるボロ家が「僕」の所...
嵐の夜に、医科学怪談。 「按摩」「死体蠟燭」(小酒井不木)(「小酒井不木集 恋愛曲線」) ちくま文庫 按摩は、それから彼が恋の敵を殺すに至るまでのいきさつを凡そ一時間近くも話した。さすがの彼も、もう煙草どころではなく、段...
読みどころは主人公・柳生兵助の圧倒的人物像 「慶安御前試合」(隆慶一郎)(「日本文学100年の名作第8巻」) 新潮文庫 「鯉が泣いています」 ある日、湖畔に蹲っていたお了が、突然そう云ったのだ。しかも指さしている。何を馬...
如是閑が伝えたかった「女性の美しさ」 「叔母さん」(長谷川如是閑)(「ふたすじ道・馬 他三篇」)岩波文庫 私に、叔母さんと、他の女の人を、明確に区別させたのは、私の、小さい美意識でしたろう。綺麗なものに引きつけられる子供...
こうした知見を持って語れることは 「大学とは何か」(吉見俊哉)岩波新書 現代における大学の危機とはいかなる危機なのか。教養の崩壊と学生の学力低下、大学の可能性や学位に対する驚くべき世間の無理解、教職員の定員削減と新自由主...
乱歩の世界が広がっています。でも、 「白晝鬼語」(谷崎潤一郎)(「潤一郎ラビリンスⅦ」)中公文庫 突然訪れた友人・園村は、今夜演ぜられる人殺しを見に行こうと「私」に持ち掛ける。精神病を患う園村の身を案じた「私」は、渋々な...