「愛しいひとにさよならを言う」(石井睦美)
これまでとは異なる視点から迫った「家族の形」 「愛しいひとにさよならを言う」(石井睦美)中公文庫 チチのことを考える。チチと過ごした時間が、隅々まで光に満ち、希望に満ちたものだったことを、確認する。チチはわたしの父親では...
これまでとは異なる視点から迫った「家族の形」 「愛しいひとにさよならを言う」(石井睦美)中公文庫 チチのことを考える。チチと過ごした時間が、隅々まで光に満ち、希望に満ちたものだったことを、確認する。チチはわたしの父親では...
毒好きな方に、乱歩の「猛毒」の逸品 「盲獣」(江戸川乱歩)(「江戸川乱歩全集第5巻」)光文社文庫 不快極まる、色彩の混乱であった。色彩の雑音。色の不協和音だ。人を気違いにする配色というものがあるならば、きっとこの様なもの...
盾の力なのか、展開する不思議な世界 「幻影の盾」(夏目漱石)(「倫敦塔・幻影の盾」)新潮文庫 盾の形は望の夜の月の如く丸い。鋼で饅頭形の表を一面に張りつめてあるから、輝やける色さえも月に似ている。縁を繞りて小指の先程の鋲...
「親の心」が痛いほど伝わってくる 「赤まんま忌」(洲之内徹)(「百年文庫097 惜」)ポプラ社 私の三男が京都で、交通事故で死んだ。大という名前で、十九歳であった。事故とはいっても、オートバイに乗って走っていて、道の曲り...
天国と現世、交錯する二つの筋書き 「天国の本屋 恋火」(松久淳+田中渉)新潮文庫 解雇され、やけ酒を飲んでいたピアニスト健太は、怪しげな老人ヤマキと出会い、そのまま意識を失う。気が付いた彼がいた場所は「天国の本屋」。そこ...
天才的探偵対天才的犯罪者、逆襲のシャーロック! 「バスカヴィル家の犬」(ドイル/日暮雅通訳)光文社文庫 魔犬伝説の伝わるバスカヴィル家。その当主チャールズが怪死し、遺産相続人として甥のヘンリーが探し出される。しかし彼の帰...
子どもたち納得したのか?疑問は深まるばかり 「印度の古話」(幸田露伴)(「日本児童文学名作集(上)」) 岩波文庫 いづれの邦にも古話といふものありて、なかなかに近き頃の小説家などの作り設くとも及びがたきおもしろみあるもの...
B級ホラーではない、上質な「ほどよい怪談」 「兜」(岡本綺堂)(「百年文庫090 怪」)ポプラ社 わたしはこれから邦原君の話を紹介したい。邦原君は東京の山の手に住んでいて、大正十二年の震災に居宅を焼かれたのであるが、家に...