「人魚の嘆き」(谷崎潤一郎)
思い浮かべるのは「秘密」、そして「パノラマ島奇譚」 「人魚の嘆き」(谷崎潤一郎)(「人魚の嘆き・魔術師」)中公文庫 昔日の南京。若くして莫大な財産を受け継いだ「貴公子」は、放蕩に放蕩を重ねるが、次第に飽きが来て、さらなる...
思い浮かべるのは「秘密」、そして「パノラマ島奇譚」 「人魚の嘆き」(谷崎潤一郎)(「人魚の嘆き・魔術師」)中公文庫 昔日の南京。若くして莫大な財産を受け継いだ「貴公子」は、放蕩に放蕩を重ねるが、次第に飽きが来て、さらなる...
現代の映し鏡としての本作品の構造 「洪水」(安部公房)(「壁」)新潮文庫 天文学者が望遠鏡で街を見ると、労働者が突然液化するのが見えた。学者は世界に向けて大洪水の到来を予言する。その言葉通り、労働者や囚人、農民などが次々...
決して死が二人を分かったのではありません 「菊の香り」(ロレンス/河野一郎訳)(「百年文庫030 影」)ポプラ社 夕闇が降り、家路に向かう男たちの影もまばらになったが、夫はまだ炭坑から帰らない。もしかしたらまたいつもの店...
明日を信じようとしていたかのような太宰の心境 「薄明」(太宰治)(「グッド・バイ」)新潮文庫 空襲によって東京を焼け出された「私」は、妻の実家のある甲府へと疎開する。実家には妻の妹が一人で住んでいた。気を落ち着かせる間も...
描かれているのは、人と人との繋がり 「春になったら苺を摘みに」(梨木香歩)新潮文庫 二十年前英国留学中の「私」が下宿していたウェスト夫人は、博愛精神の女性だった。異国人はもとより、思想信条の異なる人間、さらには犯罪歴のあ...
本でなければ成し得ない奇跡 「絵描きの植田さん」(いしいしんじ) 新潮文庫 悲しい事故で恋人と聴覚を失ってしまった絵描きの植田さん。彼はいつも高原の湖の畔から見える自然の風景を描いている。ある日、凍りついた湖を渡って、イ...
つくり話ではなく、実際にあったこと 「玄関風呂」(尾崎一雄)(「日本文学100年の名作第3巻」) 新潮文庫 ある日、妻が三円よこせという。そのわけを尋ねると、風呂桶を買うのだという。翌日それを買ったはいいが、その設置場所...
それはおそらく「パニック障害」 「恐怖」(谷崎潤一郎)(「潤一郎ラビリンスⅠ」)中公文庫 「私」が取り憑かれた病気は神経症の一種なのだという。汽車に乗り込むやいなや脈拍が上昇し、冷汗がだくだくと肌に湧き、手足が悪寒に襲わ...
芥川作品最初の一冊、決定版は本書です。 「蜘蛛の糸・杜子春」(芥川龍之介) 新潮文庫 「蜘蛛の糸」地獄を覗き見た釈迦は、罪人の中にカンダタを見つける。カンダタは悪党であったが、過去に一度だけ善行らしきことを成したことがあ...
へヴンズ・ドアを発動し…、いやいや 「岸辺露伴は動かない」(荒木飛呂彦) 集英社ジャンプコミックス 漫画家・岸部露伴は、編集者・泉京香から「富豪村」の話を聞く。周囲から孤立した山奥にある「富豪村」は、住人すべてが屈指の富...