「四つの署名」(ドイル)
読み手を唸らせる数多くの仕掛け、なんとも贅沢な娯楽作品 「四つの署名」(ドイル/日暮雅通訳) 光文社文庫 ホームズ、ワトスン、メアリー、サディアスの四人がバーソロミューの屋敷を訪れたとき、彼は毒矢を受けてすでに死んでいた...
読み手を唸らせる数多くの仕掛け、なんとも贅沢な娯楽作品 「四つの署名」(ドイル/日暮雅通訳) 光文社文庫 ホームズ、ワトスン、メアリー、サディアスの四人がバーソロミューの屋敷を訪れたとき、彼は毒矢を受けてすでに死んでいた...
新旧の価値観のせめぎ合いこそ堪能すべき 「あこがれ」(阿部昭)(「教科書名短篇 少年時代」)中公文庫 春がきた。ところが少年はねむいどころではなかった。朝も起こされなくてもちゃんと目をさます。とびおきて布団をまくりあげ、...
少しずつ恐怖が押し寄せ、最後に爆発する 「吉備津の釜」(日影丈吉)(「百年文庫024 川」)ポプラ社 「吉備津の釜」(日影丈吉)(「日影丈吉傑作館」)河出文庫 金策尽きた州ノ木は、資産家・山崎との面会へ向かう。酒場で知り...
スタイルとしては探偵小説、いやミステリです。 「彼岸過迄」(夏目漱石)新潮文庫 敬太郎は、大学の友人の叔父・田口に就職斡旋を依頼する。田口は初対面である敬太郎の人物を確かめるため、ある仕事を命じる。それは、小川町の停車所...
断言できます。本作品は「長編小説」です。 「彼岸過迄」(夏目漱石)新潮文庫 流しの方はからりと片づ付いて、小桶一つ出ていない。浴槽の中に一人横向になって、硝子越に射し込んでくる日光を眺めながら、呑気そうにじゃぶじゃぶやっ...
マイルド・ホームズ、探偵ヒューイット 「レントン館盗難事件」(モリスン/宇野利泰訳)(「世界推理短編傑作集1」) 創元推理文庫 盗難事件の捜査の依頼を受けたヒューイットは、レントン館に赴く。この一年間で三度、客の宝石が盗...
ホラー小説を書かせても、谷崎は超一級 「人面疽」(谷崎潤一郎)(「潤一郎ラビリンスⅪ」)中公文庫 場末の活動写真館で上映され、密かに話題を集めている写真「人面疽」。だが主演女優とされる歌川百合枝には、そのようなフィルムを...
純粋な男女の切ない思いを染め上げる雪の情景 「罪な女」(藤原審爾)(「百年文庫019 里」)ポプラ社 明るい性格のお愛は、新聞記者の大町にひかれ始める。深くなってはいけないと思いながらも、お愛は次第に大町から離れられなく...
冷静な目で真実を見極めようとする姿勢を 「世界の放射線被爆地調査」(高田純) 講談社ブルーバックス 原子力をエネルギーの重要政策として推進するわが国で、放射線被曝とその防護法に関する教育は皆無に近い状態にある。避けなくて...
読み手の脳内に増殖拡大する恩田パラレル・ワールド 「三月は深き紅の淵を」(恩田陸) 講談社文庫 教えられた家は、坂の上にあった。だらだらした坂は年季の入った灰色のコンクリートで、丸い輪っかがいっぱい型押しされていた。鮫島...