「犬神家の一族」(横溝正史)
味わえ!横溝正史の仕掛けの細やかさ 「犬神家の一族」(横溝正史)角川文庫 彼女はきっとはじめからそのつもりで、佐清を罠におとしたにちがいない。彼女ははじめから時計のどこかに、佐清の指紋をとるつもりだったにちがいないのだ。...
味わえ!横溝正史の仕掛けの細やかさ 「犬神家の一族」(横溝正史)角川文庫 彼女はきっとはじめからそのつもりで、佐清を罠におとしたにちがいない。彼女ははじめから時計のどこかに、佐清の指紋をとるつもりだったにちがいないのだ。...
仕方ないので、そのわからなさ加減を味わう 「一夜」(夏目漱石)(「倫敦塔・幻影の盾」)新潮文庫 三人は如何なる身分と素性と性格を有する?それも分らぬ。三人の言語動作を通じて一貫した事件が発展せぬ?人生を書いたので小説をか...
その結末まで目一杯、夢に満ちあふれている 「白孔雀のいるホテル」(小沼丹)(「百年文庫029 湖」)ポプラ社 大学生になったばかりのころ、僕はひと夏、宿屋の管理人を務めたことがある。宿屋の経営者のコンさんは、その宿屋で一...
ただ、静かに、たおやかに、語りかけてくる 「やがて満ちてくる光の」(梨木香歩) 新潮文庫 児童文学が大人の中の子どもの視点を呼び覚ますものであるなら、現役の子どもたちの「社会の新人」としての目が現代のすさまじい昏さを捉え...
強いて言うなら「Spa Detective」でしょうか 「偽悪病患者」(大下宇陀児)(「偽悪病患者」)創元推理文庫 「偽悪病患者」(大下宇陀児)(「新青年傑作選集3」)角川文庫 ××日附、佐治さんを接近させてはいけないと...
死の先には、さらに深い絶望が用意されている 「時の崖」(安部公房)(「無関係な死・時の崖」)新潮文庫 ……負けちゃいられねえよなあ……勝負だもんなあ……負けるために、勝負してるわけじゃねえんだからなあ……あ、これ、昨日の...
広い視野、そして一段高い視座から 「駄菓子屋」(小林多喜二)(「百年文庫079 隣」)ポプラ社 「あっつくたら子供にまで馬鹿に……され……るなんて……」お婆さんは興奮して泣き出した。健は何んとも云わずに内へ入った。「なあ...
「日本はアジアを侵略した」という事実 「太平洋戦争 日本の敗因5」(NHK取材班)角川ソフィア文庫 九七パーセントが、生きて日本に帰ることはなかった。レイテ戦以降の一〇か月間に、フィリピン全体で戦死した日本兵は四七万人に...
真相究明より衝撃的感動的な、終末のドラマ 「医師とその妻と時計」(アンナ・キャサリン・グリーン)(「世界推理短編傑作集1」) 創元推理文庫 ニューヨークの高級アパートで、事業家ハスブルック氏が殺害されるという事件が起こる...
夜の東京の闊歩から、最後は神々しいメルヘンへ 「詩人のわかれ」(谷崎潤一郎)(「潤一郎ラビリンスⅢ」)中公文庫 此の頃の出来事なのです。三月初めの、或る日の朝のことでした。Aと云う歌人と、Bと云う戯曲家と、Cと云う小説家...